公開日:2025.04.18

ASD(自閉症スペクトラム)に向いている仕事11選!特性を活かせる職種と就労のコツ

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ASD(自閉症スペクトラム)に向いている仕事11選!特性を活かせる職種と就労のコツ
このコラムのまとめ
ASD(自閉症スペクトラム)の方に向いている仕事11選と就労のコツを解説します。論理的思考や細部への注意力などASDの特性を活かせる職種、多様な働き方の選択肢、職場定着のための工夫、利用できる支援制度まで、ASDの方が強みを発揮できるキャリア構築のポイントが分かります。

もくじ

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ASDの方に向いている仕事11選:特性を活かせる職種

ASD(自閉症スペクトラム)の方は、その特性によって向いている仕事があります。特性を理解し、強みを活かせる職場環境で働くことで、長期的に安定したキャリアを築くことが可能です。ここでは、ASDの方の特性を活かせる11の職種を4つのカテゴリーに分けてご紹介します。

IT・技術系職種

IT・技術系の職種は、論理的思考や細部への注意力が求められるため、ASDの方の強みが発揮されやすい分野です。

1. プログラマー・システムエンジニア

ルールやロジックに従って作業し、正確性が求められるため、ASDの方の論理的思考力や細部へのこだわりが強みとなります。
物事に道筋を立てて考えたりするのが好きな方やこだわりが強い人間だなと思うことが多い人に向いている職業です。

2. Webデザイナー・コーダー

ASDの方の視覚的な情報処理能力の高さや細部へのこだわりを活かせる職種です。また、リモートワークが可能な職場も多い点も魅力です。

3. データアナリスト・データサイエンティスト

数字やパターンの認識に優れたASDの方にとって、その特性を最大限に活かせる職種といえます。

4. ゲームテスター・QAエンジニア

同じ操作を繰り返し行い、わずかな異常を察知する必要があるため、ASDの方の集中力と細部への注意力が活きます。

事務・専門職

事務職や専門職は、正確さや細部への注意が求められるため、ASDの方の強みを活かしやすい職種です。

5. 経理・会計事務

数字を扱うことが多く、正確性や論理的思考を要するため、ASDの方の特性と相性が良い職種です。

経理の仕事は数字が規則に従って整理されていくのが心地よいです。また、ルールが明確で、正しい手順を踏むことで確実に結果が出せる点にやりがいを感じています。

経理部門で働くASDの方

6. データ入力・事務作業

ルーティンワークが中心で変化が少なく、細かい作業に集中できる点が、ASDの特性を持つ人に向いています。

7. 研究職・技術開発

特定分野の知識を深め、新しい発見や技術の開発を目指す仕事です。ASDの方の「特定の分野への強い関心と知識の蓄積」という特性を大いに活かせます。

クリエイティブ系:脳内の「世界観」を形にする

ASDの方特有の「独自の世界観」や「妥協なきこだわり」は、一般的な職場では浮いてしまうこともありますが、制作の世界では「誰にも真似できないオリジナリティ」として高く評価されます。

8. Webライター・テクニカルライター

「オタク気質」が最強の武器になる仕事。
興味のある分野をとことん掘り下げる「過集中」の特性が、そのまま記事の深みや信頼性に直結します。対面での会話よりも、推敲できる「文章」での表現が得意な方に最適です。

9. イラストレーター・グラフィックデザイナー

「1ミリのズレ」も許さない職人肌。
優れた視覚的処理能力(カメラアイなど)を活かし、細部まで緻密に描き込む作業に没頭できます。言葉で伝えるのが苦手でも、作品を通して雄弁に語ることができます。

技能・専門職:「正解」が決まっている安心感

「空気を読む」「臨機応変に」といった曖昧な指示がなく、ルール通りに進めれば評価される仕事は、ASDの方にとって精神的な負担が少ない「安全地帯」です。

10. 工場作業員・製造ライン

「手順が決まっている」ことの心地よさを感じられる仕事です。同じ作業の繰り返しは、苦痛ではなく「リズム」となり、没頭することで精神的な安定を得られます。

11. 校正者・品質管理

他の人が見落とすような小さなミスや違和感に、瞬時に気づいてしまう。「気になって仕方がない」というその敏感さが、製品の安全を守る「最後の砦」として重宝されます。

ASDの方が職業選択をする際には、自分の特性と職務内容のマッチングが非常に重要です。特に「得意なこと」と「苦手なこと」を客観的に把握し、自分の強みを活かせる環境を選ぶことで、長期的に安定した就労が可能になります。

就労支援専門家

ASDの方の働き方の選択肢:多様な雇用形態

ASDの方の働き方の選択肢:多様な雇用形態

ASD(自閉スペクトラム症)のある方が、安心して長く働き続けるためには、自分の特性や生活スタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。一般的なフルタイム勤務に限らず、さまざまな働き方が広がってきています。ここでは、ASDの特性を持つ方にとって現実的で無理のない雇用形態についていくつか紹介します。

短時間勤務・フレックスタイム制

ASDの方の中には、音や光などの刺激に敏感だったり、疲れやすさを感じやすい方もいます。そのため、体調や生活リズムに合わせて働ける「短時間勤務」や「フレックスタイム制」などの柔軟な働き方を選ぶことで、無理なく仕事を続けやすくなります。

  • 体調や集中力が高い時間帯に合わせて働くことができる
  • 通勤ラッシュを避けることで感覚過敏によるストレスを軽減できる
  • 疲労が蓄積する前に休息を取ることができる

テレワーク・リモートワーク

テレワーク(在宅勤務)やリモートワークは、自宅や落ち着ける場所で仕事ができるため、周囲の刺激に影響されにくいという利点があります。職場での雑音や雑談に疲れてしまう方や、移動に不安を感じる方にとっては、非常に働きやすい選択肢と言えるでしょう。

私は朝の通勤ラッシュが苦手で、人混みや騒音でパニックになることがありました。リモートワークを導入している会社に転職してからは、自分に合った環境で集中して仕事に取り組めるようになりました。

リモートワークを活用しているASDの方

特例子会社とは?

障害のある方を雇用することを目的に設立された「特例子会社」では、ASDを含む障害特性への理解が深く、業務の進め方や職場環境に配慮がなされていることが多いです。また、障害者雇用枠のある企業も同様に、安心して働ける環境づくりを進めています。これらは、法的な支援制度に基づいて整備されているため、働き手側にとっても安心材料のひとつになります。

  • 特性への理解があり、適切な合理的配慮を受けやすい
  • 業務内容が個人の能力や特性に合わせて調整されることが多い
  • ジョブコーチなどの専門的なサポートを受けられる可能性がある

フリーランス・個人事業主という選択肢

時間や場所に縛られず、自分のやり方で仕事ができる「フリーランス」や「個人事業主」という働き方を選ぶ方も増えています。仕事の量やスケジュールを自分で調整できるため、日々のコンディションに合わせやすいのが魅力です。ただし、営業や経理なども自分で行う必要があるため、向き不向きが分かれる面もあります。

自分の強みを活かせる分野で独立することで、ASDの特性に合った環境を自ら作り出すことができます。

多様な働き方の中から自分に合ったものを選ぶことで、ASDの方も自分の強みを活かしながら、長期的に安定した就労生活を送ることができます。どの働き方を選ぶにしても、自分の特性を理解し、適切なサポートや環境調整を行うことが成功の鍵となります。

「就職」をゴールにせず、「定着」をゴールにする

ASDの方の仕事探しで最も重要なのは、給与や知名度ではありません。「自分の特性(脳のクセ)と喧嘩しない環境」を見つけられるかどうかです。
ミスマッチを防ぐために、まずは「自分という人間の取扱説明書(トリセツ)」を作るところから始めましょう。

自己理解と特性の把握が成功の鍵

仕事探しの第一歩は、自分自身の特性を客観的に理解することです。自分の強みを活かし、苦手なことをサポートしてもらえる環境を選ぶためには、的確な自己分析が欠かせません。

  • 「快」と「不快」の仕分け:「どんな時に時間を忘れて没頭できたか」と「どんな時にパニックになったか」を書き出す。
  • 具体的な「配慮」の言語化:単に「苦手です」ではなく、「口頭指示だと忘れるので、チャットで送ってもらえると助かります」といった代替案を用意する。

この「トリセツ」さえあれば、面接官に対しても「私はこういう環境なら成果を出せます」と、自信を持ってプレゼンできるようになります。

面接は「障害の告白」ではなく「戦力になるための提案」

面接で特性を伝える時、申し訳なさそうにする必要はありません。「自分の能力を最大限に発揮するための条件」として、堂々と伝えましょう。

面接では「私は細部へのこだわりが強く、正確な作業には自信があります。ただ、その分『急な予定変更』には動揺しやすい特性があります。
ですので、可能な限りスケジュールを前もって共有していただければ、持ち前の集中力を活かして御社に貢献できます」と伝えました。

面接で適切な自己開示をしたASDの方

自分を助ける「道具」と「ルール」を作る

就職した後に大切なのは、我慢することではなく、自分が働きやすいように環境をカスタマイズすることです。会社に遠慮しすぎず、以下の工夫を取り入れてみてください。

「見えない時間」を「見える化」する

ASDの方にとって、口頭での「適当なタイミングでやっておいて」という指示は、実体のない幽霊のようなもので不安の種になります。
記憶力に頼らず、「TO DOリスト」や「カレンダーアプリ」を使って、業務をすべて視覚化しましょう。「文字や図としてそこにある」という状態を作るだけで、脳のメモリが解放され、見通しを持って動けるようになります。

感覚過敏には「物理的な防具」を

オフィスの雑音や照明が辛い場合、精神論で耐えるのは不可能です。物理的に遮断する「防具」の使用を許可してもらいましょう。

  • 耳の防衛:ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓の使用を相談する(「集中したい時だけ」と限定すれば許可されやすいです)。
  • 目の防衛:PC用メガネ(ブルーライトカット)や、デスク周りのパーテーション設置で、視覚情報のノイズを減らす。

ASDの方に向いていない可能性がある仕事と要注意ポイント

ASDの特性を理解し、自分に向いている職種を探すことは重要ですが、同時に苦手な環境や業務内容を把握することも大切です。このセクションでは、一般的にASDの特性と相性が良くない職種や、就職活動の際に注意すべきポイントを解説します。

対人コミュニケーションが主体の職種

ASDの方は社会的コミュニケーションに困難を感じることが多いため、対人関係が業務の中心となる職種は負担が大きくなる可能性があります。
例えば、以下のような職種はコミュニケーションが多くなったりするので、ASDの方にとっては心身的負担が多い職種と言えるでしょう。

  • 接客業(飲食店スタッフ、ホテルフロント、小売店販売員など)
  • 営業職(法人営業、訪問営業、不動産営業など)
  • コールセンターオペレーター
  • 人事・採用担当

急な変更や割り込みが多い業務環境

ASDの方は、予測可能性を好み、ルーティンや構造化された環境で力を発揮する傾向があります。そのため、予定が頻繁に変わったり、複数の業務を同時進行させたりする必要がある職場では困難を感じることがあります。
例えば、中小企業の総務などは仕事内容が多岐に渡ったりするため、作業に没頭したいタイプの方には向いていません。

以前、総務部で働いていた時は、常に電話対応や来客対応で作業が中断され、多くの業務を同時に処理する必要がありました。今は一つの業務に集中できるポジションに変わり、パフォーマンスも上がっています。

職種転換を経験したASDの方

感覚刺激が強い職場環境

ASDの方の多くは感覚過敏を持ち、特定の音、光、匂い、触感などに強い不快感を覚えることがあります。そのため、感覚刺激が強い環境では集中力が低下したり、強いストレスを感じたりする可能性があります。
工場での作業などはこれらに当てはまる職種もあるため、事前に内容を把握した上で応募するようにしたほうが良いでしょう。

ASDの方が仕事で直面しやすい課題とその対処法

ASDの方が職場で活躍するためには、特性に由来する様々な課題を理解し、適切な対処法を身につけることが重要です。このセクションでは、ASDの方が仕事の場面で直面しやすい困難と、それを乗り越えるための具体的な方法を紹介します。

コミュニケーション面での困難さ

ASDの特性の中核には社会的コミュニケーションの困難さがあります。職場では様々なコミュニケーションが要求されるため、多くのASDの方がこの面で課題を感じています。

  • 指示が曖昧な場合は「具体的に教えていただけますか」と質問する
  • 大事な内容は書面やメールで確認する習慣をつける
  • 会議の前にアジェンダ(予定表)や資料を事前に確認しておく

私は上司からの指示が理解できなかった時に「申し訳ありませんが、もう少し具体的に教えていただけますか」と伝えるようにしています。また、重要な指示はメモに取り、確認のために復唱するようにしています。

コミュニケーションの工夫をしているASDの方

環境変化やマルチタスクへの対応

ASDの方は予測可能性を好み、ルーティンや構造化された環境で安心感を得る傾向があります。そのため、急な予定変更や複数の業務を同時に行うマルチタスクが苦手なことが多いです。

  • スケジュール管理アプリで予定を視覚化する
  • ToDo リストを作成し、優先順位を明確にする
  • タスクを開始する前に必要な手順をリスト化する

このようにやるべきことをまとめたり、時間管理をするなどしておき、頭をすっきりさせて業務に取り掛かることで、余計なストレスを感じることはなく、業務に従事できる事も多いです。
私自身が関わっている方々には、業務に入る5分前にこれらを整理してもらい、それから仕事を開始するようにおすすめしています。

ASDの方を支援する就労支援制度と機関

ASDの方が自分に合った仕事を見つけ、職場に定着するためには、様々な支援制度や機関を活用することが有効です。日本には、障害のある方の就労を支援するための多様な制度やサービスが整備されています。

障害者雇用制度の活用方法

障害者雇用制度は、障害のある人々の雇用機会を確保するために設けられた制度です。この制度を活用することで、ASDの方にとって働きやすい環境が整った職場を見つけやすくなります。

  • 障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳など)の取得が基本的に必要
  • 障害特性への理解と配慮が得られやすい
  • 業務内容が個人の能力や特性に合わせて調整されることが多い

就労移行支援サービス

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方に対して、就労に必要な知識やスキルの習得、就職活動の支援などを提供する福祉サービスです。

就労移行支援サービスでは、自分の強みや弱みを客観的に知ることができました。特に、ASDの特性に理解のあるスタッフからのアドバイスが役立ちました。

就労移行支援を利用したASDの方

ハローワークや障害者職業センターの活用法

公的な就労支援機関として、ハローワーク(公共職業安定所)や障害者職業センターがあります。これらの機関では、障害のある方の就労を支援するための様々なサービスを無料で提供しています。

ASD(自閉症スペクトラム)とは?基本的な特性と強み

ASD(自閉症スペクトラム障害/Autism Spectrum Disorder)は、発達障害の一種で、社会的コミュニケーションの困難さや限定された興味・こだわりなどを特徴とする神経発達症です。かつては自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などと区別されていましたが、現在は連続体(スペクトラム)として捉えられています。

ASDの方が持つ主な特徴と傾向

  • 社会的コミュニケーションに困難さがある
  • 特定のトピックや活動に強い興味を持つ
  • ルーティンや決まった手順を好む
  • 感覚刺激に敏感または鈍感である
  • 論理的・分析的な思考が得意

ASDの特性は障害である前に、その人固有の『認知スタイル』や『世界の捉え方』と考えることも大切です。適切な環境と理解があれば、多くの特性は強みとなり得ます。

精神科医

ASDの方が仕事で発揮できる強み

ASDの特性は、適切な環境と役割があれば、職場での大きな強みとなります。特に、高い集中力、細部への注意力、論理的思考、正確な手順遵守、特定分野での専門知識の蓄積などが職場で評価される能力につながります。

まとめ:ASDの特性を理解し、強みを活かせる仕事選びが成功への道

ASDの方が充実したキャリアを築くためには、自分の特性を理解し、強みを活かせる仕事を選ぶことが重要です。本記事で紹介した職種や働き方の選択肢を参考に、自分に合った環境を探しましょう。

「配慮してほしい」と言い出すには、大きな勇気がいります。「わがままと思われないか」と怖くなることもあるでしょう。
そんな時こそ、就労支援機関や専門家を頼ってください。彼らはあなたの代わりに、企業へ「取扱説明書」を渡してくれる心強い味方です。

大切なのは、「障害」ではなく「特性」という視点で自分自身を理解することです。あなたの特性を活かせる場所は必ずあります。

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