公開日:2025.06.04 最終更新日:2025.06.10
自律神経失調症の方に向いている仕事とは?特徴と仕事選びのポイントを徹底解説
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- このコラムのまとめ
- 自律神経失調症の方は、柔軟な勤務時間や在宅勤務が可能で、ストレスが少なく自分のペースで進められる仕事が向いています。特に、IT業界やライター、イラストレーターなどのクリエイティブ職、事務職などが挙げられます。仕事選びの際は、自身の体調の波を理解し、柔軟な勤務形態やストレスの少ない環境を重視することが重要です。
自律神経失調症の方に向いている仕事の特徴7選
自律神経失調症の方が無理なく長く働くためには、症状の特性に合った環境で仕事をすることが重要です。ここでは、自律神経失調症の方に向いている仕事の特徴を7つご紹介します。
①勤務時間が柔軟な仕事
自律神経失調症の方は、調子の波が大きいという特徴があります。そのため、固定的な勤務時間よりも、自分の体調に合わせて働ける柔軟な勤務形態の仕事が向いています。フレックスタイム制や裁量労働制を導入している会社、時短勤務が可能な企業などが当てはまります。
②在宅やリモートワークが可能な職種
通勤によるストレスや体力消耗を避けられる在宅ワークやリモートワークは、自律神経失調症の方に適しています。自分のペースで休憩を取りやすく、体調に合わせて仕事の時間帯を調整できる点も大きなメリットです。
キャリアカウンセラー
③ストレス要因が少ない環境の仕事
自律神経失調症の原因は、社会的ストレスや環境の変化などが考えられています。締め切りに追われることが少なく、人間関係の調整が複雑でない、突発的な業務変更が少ない職場環境が理想的です。
④自分のペースで進められる仕事
自律神経失調症の方は疲れやすく、回復に時間がかかる傾向があります。成果物で評価される制作系の仕事や、一人作業が中心の職種など、自分のペースで進められる仕事は無理なく働き続けるのに適しています。
⑤人間関係の負担が少ない仕事
職場での人間関係は大きなストレス源になりえます。自律神経失調症のある方には、チームワークよりも個人作業が中心の仕事や、顧客対応や営業など対人折衝が少ない職種が向いています。コミュニケーションがメールやチャットなど非同期で行える環境も負担が少ないでしょう。
⑥身体的負担の少ない仕事
自律神経失調症の方は、不眠や集中力低下などの症状が出ることがあります。長時間の立ち仕事や力仕事が少なく、短時間の休憩を取りやすい職種が適しています。また、集中力を要する作業と単純作業を切り替えられる仕事も、症状に合わせた調整がしやすいでしょう。
⑦福利厚生が充実した職場の仕事
自律神経失調症の場合、朝の起床に時間がかかったり、通勤中に体調を崩したりすることがあります。時差出勤制度や有給休暇が取りやすい、半日休暇制度がある、社内カウンセラーなどの窓口がある、休職制度が整っているなど、福利厚生が充実した職場を選ぶことも大切です。
以上の特徴をふまえて仕事を選ぶことで、自律神経失調症の方も無理なく長く働き続けることができるでしょう。次のセクションでは、これらの特徴を持つ具体的な職種をご紹介します。
自律神経失調症の方におすすめの具体的な職種10選
前章では自律神経失調症の方に向いている仕事の特徴をご紹介しました。ここでは、それらの特徴を踏まえた具体的な職種を10種類ご紹介します。自分の興味や適性、スキルと照らし合わせながら、検討してみてください。
Webデザイナー・プログラマー
IT業界の仕事は、リモートワークが浸透していることが多く、自宅で働ける環境が整っています。フレックス制を導入している企業も多いため、体調に合わせた勤務が可能です。
ライター・編集者
WebコンテンツやSNS記事の需要増加により、在宅で働けるライターの求人が増えています。自分のペースで執筆・編集作業ができ、専門分野の知識を活かせる点も魅力です。
イラストレーター・グラフィックデザイナー
創作活動は自分のペースで進められ、精神的なリフレッシュ効果もあります。在宅やフリーランスの働き方が選択でき、自分の得意なスタイルを活かせます。
事務職・一般職
比較的ストレスが少なく、定型業務の多い事務職も向いています。特に大企業や公的機関は福利厚生が充実していることが多く、時短勤務などの制度が整っている場合が多いでしょう。
データ入力・テープ起こし
在宅でできる案件が多く、人間関係の煩わしさが少ないのが特徴です。作業量に応じた報酬体系で、特別な資格が不要で始めやすい仕事です。
オンライン英語講師
図書館司書
静かで落ち着いた環境で働け、定型業務が多く予測可能性が高いのが特徴です。シフト制で働ける場合が多く、公共機関のため福利厚生が整っています。
コールセンタースタッフ(在宅)
近年増えている在宅コールセンターの仕事は、通勤の必要がなく、シフト制で自分の調子がよい時間帯を選べる場合があります。特にメールやチャット対応であれば、ストレスが比較的少ないでしょう。
オンライン講師・家庭教師
授業のスケジュールを自分で調整できる場合が多く、オンラインでの指導なら通勤の負担もありません。生徒との1対1の関係で人間関係が比較的シンプルなのも魅力です。
EC運営スタッフ
ネットショップの運営に関わる業務は、リモートワークが可能で、商品登録や在庫管理など定型的な業務が多いのが特徴です。特に自分の興味がある分野のECサイト運営であれば、モチベーションも保ちやすいでしょう。
農業・園芸関連の仕事
自然と触れ合いながら働ける環境は、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。季節のリズムに合わせた規則的な生活ができ、自分のペースで作業を進められる場合が多いのも魅力です。
これらの職種はあくまで一例です。自分の興味や適性、経験を考慮しながら、自律神経失調症の症状と上手に付き合える仕事を選ぶことが大切です。
自律神経失調症の方が仕事を選ぶ際の5つのポイント
自律神経失調症の方が仕事を選ぶ際には、単に「どんな職種が向いているか」だけでなく、自分の症状や働き方の希望に合わせた選択が重要です。ここでは、仕事選びを成功させるための5つの重要なポイントを紹介します。
①自分の症状のパターンを把握する
自律神経失調症の症状は人によって異なり、また同じ人でも時期によって症状の出方が変化します。どのような状況で症状が悪化するか、一日の中で調子が良い時間帯はいつか、症状の波の周期はどのくらいかなど、自分の体調パターンを把握しておくことが重要です。
自律神経失調症を経験した方
②働き方の柔軟性を重視する
自律神経失調症の方にとって、働き方の柔軟性は非常に重要です。フレックスタイム制や時短勤務、在宅勤務やリモートワークの制度があるか、休暇が取りやすい雰囲気や制度があるかなどをチェックしましょう。体調の波に合わせて働ける環境を選ぶことで、無理なく長く働き続けることができます。
③職場環境や社風を事前に確認する
職場環境や会社の社風は、自律神経失調症の症状に大きく影響します。残業の頻度や量、休暇取得率、職場の人間関係や雰囲気、メンタルヘルスケアの取り組みなどを事前に調査しましょう。ストレスの多い環境や長時間労働が当たり前になっている職場は避けた方が無難です。
④通勤時間や通勤手段を考慮する
自律神経失調症の方にとって、通勤は大きな負担になることがあります。特に混雑した電車での長時間通勤は、症状を悪化させる要因となりかねません。通勤時間はどれくらいか、通勤ラッシュを避けられるか、通勤手段の選択肢はあるかなど、通勤に関する要素も重要な検討ポイントです。
⑤面接時の病気の開示について
就職活動や転職活動において、自律神経失調症であることをいつ、どのように伝えるべきかは悩ましい問題です。業務に支障がない場合は必ずしも開示する必要はありませんが、配慮が必要な場合は具体的にどのような配慮が必要かを伝えるとよいでしょう。開示する場合は、単に「自律神経失調症です」と伝えるだけでなく、自己管理の方法や、これまでどのように仕事と両立してきたかなど、自分の強みも合わせて伝えることが大切です。
これら5つのポイントを意識して仕事を選ぶことで、自律神経失調症があっても長く安定して働ける環境を見つけることができるでしょう。
最終的には自分の状態や優先順位に合わせて、総合的に判断することが大切です。
自律神経失調症の方が利用できる就労支援と制度
自律神経失調症の症状が重い場合や、就職活動に不安を感じる場合は、様々な就労支援サービスや制度を活用することができます。ここでは、自律神経失調症の方が利用できる主な支援機関と制度について解説します。
就労移行支援事業所の活用法
就労移行支援事業所は、障害のある方が一般企業で働けるよう支援する福祉サービスです。体調管理や職場でのコミュニケーションスキル、就職に必要な専門スキルの習得などをサポートします。自律神経失調症単独では利用しにくい場合もありますが、うつ病や適応障害など他の診断がある場合は利用できる可能性があります。
障害者就業・生活支援センターのサポート
障害者就業・生活支援センターは、就職活動から職場定着まで一貫してサポートする機関です。就職に関する相談・支援、求人情報の提供、就職後の職場定着支援などを行っています。体調不良で就労が困難な状態であれば、まずは相談してみる価値があります。
就労移行支援利用者
ハローワークの専門窓口
ハローワークには、障害のある方や健康上の理由で配慮が必要な方向けの専門窓口があります。障害や健康状態に配慮した求人紹介、専門のジョブコーチによる支援、職業適性検査などのサービスを受けられます。診断書や紹介状があるとスムーズです。
傷病手当金など経済的支援制度
一時的に働けない状況になった場合、傷病手当金を利用できる可能性があります。健康保険に加入している方が対象で、支給期間は最長1年6ヶ月、支給額は直近の平均月収の約3分の2です。また、退職した場合は失業保険の受給も検討できますが、すぐに就職できない場合は受給期間延長の手続きが必要です。
リワークプログラム
休職中の方が職場復帰を目指す際に利用できる「リワークプログラム」も有効な支援制度です。生活リズムの回復訓練、集中力・持続力の回復訓練、ストレス対処法の習得などが含まれます。医療機関や地域障害者職業センターで実施されています。
これらの支援制度や機関を上手に活用することで、自律神経失調症の症状があっても、無理なく就労への一歩を踏み出すことができます。自分の状態や目標に合わせて、適切な支援を選びましょう。
自律神経失調症と仕事を両立させるための7つの工夫

自律神経失調症を抱えながらも、仕事を続けるためには日々の工夫が欠かせません。ここでは、仕事と自律神経失調症を上手に両立させるための7つの具体的な方法をご紹介します。
①体調管理を最優先にする
自律神経失調症と仕事を両立させる上で最も重要なのは体調管理です。体調の変化を日記やアプリで記録し、疲れのサインを見逃さず早めに休息を取りましょう。十分な睡眠、規則正しい生活リズム、バランスの良い食事を心がけることが基本です。
②上司や同僚に適切に伝える
職場の上司や同僚に自分の状態を適切に伝えることで、理解や配慮を得やすくなります。できることとできないことを明確にし、自分の強みや工夫していることも伝えましょう。
IT企業勤務・30代
③無理のないスケジュール管理
自分のペースと体調に合わせた計画を立てましょう。タスクにかかる時間を多めに見積もり、予定と予定の間に余裕を持たせること、体調が良い時間帯に重要な仕事を集中させることがポイントです。
④休憩・休暇を効果的に取る
1〜2時間ごとに短い休憩を取り、昼休みはしっかり休息しましょう。半日休暇を活用して疲れを溜めないようにし、体調の波を把握して調子が悪い時期に休暇を計画すると効果的です。
⑤ストレス軽減テクニックを取り入れる
腹式呼吸、漸進的筋弛緩法、マインドフルネス瞑想、ストレッチなど、日常的なストレス軽減法を身につけましょう。特に腹式呼吸は副交感神経を優位にする効果があり、短時間でも実践できます。
⑥仕事と私生活のバランスを整える
仕事とプライベートの境界線を明確にし、趣味や楽しみの時間を確保しましょう。休日はメールやメッセージをチェックしない時間を作り、自分の「充電方法」を見つけることが大切です。
⑦産業医や専門家に相談する
一人で抱え込まず、産業医や専門家に相談しましょう。産業医は医学的知識と職場環境の両方を理解している専門家で、適切な配慮やワークスタイルについてアドバイスを受けられます。
これらの工夫を取り入れながら、自分のペースで仕事を続けていくことで、自律神経失調症があっても充実したキャリアを築いていくことが可能です。
自律神経失調症とは?基本的な理解
自律神経失調症とどのように向き合い、どんな職業が向いているかを考える前に、まずはこの症状について正しく理解しておきましょう。ここでは、自律神経失調症の基本的な知識や特徴について解説します。
自律神経とは何か
自律神経とは、私たちの意志とは関係なく、自動的に体の機能を調整している神経系です。呼吸や心拍、血圧、体温調節など、生命維持に必要な機能を24時間コントロールしています。
- 交感神経:活動時や緊張時に優位になる神経。「アクセル」の役割を果たします。
- 副交感神経:休息時やリラックス時に優位になる神経。「ブレーキ」の役割です。
自律神経失調症の定義と特徴
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、様々な身体的・精神的症状が現れている状態を指します。正式な医学的診断名ではなく、「状態」を表す言葉である点が重要です。
医師
自律神経失調症の主な症状
自律神経失調症の症状は多岐にわたり、人によって現れ方が異なります。主な症状を身体面と精神面に分けて紹介します。
身体的症状
- 動悸、胸の圧迫感、血圧の変動
- 息切れ、息苦しさ
- 食欲不振、胃部不快感、下痢、便秘
- 頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ
- 肩こり、腰痛、全身の倦怠感
- 睡眠障害、微熱など
精神的症状
- 不安感・焦燥感
- イライラ・気分の落ち込み
- 集中力・記憶力の低下
- 意欲の減退
自律神経失調症の主な原因
自律神経失調症は複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。主な原因は長期間のストレス、不規則な生活習慣、過度の責任感や完璧主義的な性格などです。これらが自律神経のバランスを乱す要因となります。
これらの基本知識を理解することで、自分の症状や体調の特徴を知り、適切な職業選択や働き方の工夫につなげることができます。
自律神経失調症と仕事に関するQ&A
自律神経失調症を抱えながら働く方々からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。就職活動や職場での対応、制度の利用など、実践的な疑問に焦点を当てています。
Q1. 自律神経失調症は障害者雇用の対象になりますか?
自律神経失調症単独では、一般的に障害者雇用の対象にはなりません。ただし、併発している疾患(うつ病や不安障害など)があり、精神障害者保健福祉手帳を取得している場合は対象となる可能性があります。
Q2. 症状が悪化した場合、休職はできますか?
休職できるかどうかは、会社の就業規則や休職制度の内容、医師の診断によって異なります。医師の診断書が必要になることがほとんどで、休職中の収入が心配な場合は傷病手当金の申請も検討しましょう。
出版業界勤務・40代男性
Q3. 転職活動中に自律神経失調症を伝えるべきですか?
状況によって判断が分かれますが、伝える場合は単に「自律神経失調症です」と伝えるだけでなく、必要な配慮と自分の強みを合わせて伝えるとよいでしょう。タイミングは、ある程度採用に前向きな反応が得られた後の面接や、内定後の条件交渉の段階が適切な場合が多いです。
Q4. 自律神経失調症でも正社員として働けますか?
はい、自律神経失調症があっても正社員として働くことは十分可能です。症状の管理、無理のない職場選び、柔軟な働き方の活用、自己管理のルーティン確立などが重要です。近年ではテレワークやフレックスタイム制を導入している企業も増えています。
Q5. 在宅ワークに切り替える方法はありますか?
既存のテレワーク制度があれば申請する、主治医に診断書を発行してもらう、自分の担当業務のうち在宅でも遂行可能な業務を提案する、などの方法があります。現在の職場で難しい場合は、リモートワークが基本の職種や企業への転職も選択肢の一つです。
自律神経失調症と仕事の両立に「完全な解決策」はありませんが、自分の状況に合わせた工夫と適切なサポートを受けることで、充実したキャリアを築くことは十分可能です。
まとめ:自律神経失調症でも自分に合った仕事で充実した働き方を
自律神経失調症があっても、適切な仕事選びと工夫次第で充実した働き方が可能です。自己理解を深め、症状のパターンを把握すること、環境を整えて自分に合った職場を選ぶこと、そして日常的な自己管理を徹底することが重要です。
体調と相談しながら自分のペースで働くことは「甘え」ではなく、長く健康に働き続けるための賢明な選択です。自分の体調と上手に付き合いながら、自分らしいペースで働き、成長していくことに価値があるのです。
キャリアカウンセラー