公開日:2025.06.09 最終更新日:2025.06.10
パニック障害のある方に向いている仕事と就労成功のポイント|症状の対処法から支援制度まで
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- このコラムのまとめ
- パニック障害のある方が無理なく働くには、自分のペースで進められ、業務内容が予測しやすく、対人ストレスの少ない職場環境が適しています。定型的かつ反復的な作業や一人で完結できる仕事は不安を軽減しやすく、症状を悪化させにくい傾向があります。自身に合った働き方を見つけることで、安心して社会と関わることが可能です。
パニック障害の方に向いている仕事の特徴
パニック障害を抱えながらも安心して働くためには、症状を悪化させない環境で仕事をすることが重要です。ここでは、パニック障害の方に向いている仕事の特徴をご紹介します。
自分のペースで進められる仕事
パニック障害の方にとって、自分のペースで進められる仕事環境は大きな安心感につながります。突然のプレッシャーや予定変更が少ない環境では、不安やストレスが軽減されるため、発作のリスクも下がります。
- 納期や締め切りに余裕がある業務
- 自分で仕事の進行ペースを調整できる環境
- ノルマやプレッシャーの少ない職場
精神科医
定型業務や作業系の仕事
毎日同じような流れで行う定型業務は、予測可能性が高く、パニック障害の方にとって安心して取り組みやすい特徴があります。突発的な対応が少なく、マニュアル化された作業が中心の仕事は心理的な負担が少なくなります。
- 手順が明確で予測可能な業務
- 同じ流れで繰り返し行う作業
人との関わりが少ない環境の仕事
パニック障害の方の中には、対人関係のストレスが発作のきっかけになるケースも少なくありません。特に緊張を強いられる環境では症状が出やすくなることがあるため、人との関わりが比較的少ない職種が向いていることがあります。
- 顧客対応や接客業務が少ない仕事
- 一人で黙々と作業できる環境
時間や場所に柔軟性のある仕事
パニック障害の症状は日によって変動することがあります。そのため、勤務時間や働く場所に柔軟性がある仕事環境は、体調に合わせて無理なく働き続けるために大きなメリットとなります。
- フレックスタイム制度がある職場
- リモートワークや在宅勤務が可能な仕事
- 時差出勤ができる環境
パニック障害と共に5年働いているAさん
パニック障害の方がより安心して働くためには、上記のような特徴を持つ仕事を選ぶことが大切です。もちろん、症状の程度や個人の特性によって向き不向きは異なりますので、自分自身の状態をよく理解した上で、無理のない仕事選びを心がけましょう。
パニック障害の方におすすめの具体的な職種
前章でご紹介したパニック障害の方に向いている仕事の特徴を踏まえて、具体的にどのような職種が適しているのかを見ていきましょう。ここでは、実際に多くのパニック障害の方が活躍している職種をご紹介します。
事務職・経理職などのデスクワーク
デスクワークは、パニック障害の方に最もおすすめできる職種の一つです。特に一般事務や経理事務は、比較的定型的な業務が多く、マイペースで作業を進められる環境が整っていることが多いからです。
- データ入力や書類作成などの一般事務
- 伝票処理や会計処理などの経理事務
- ファイリングや資料整理などのバックオフィス業務
経理事務として働く30代女性
ITエンジニア・プログラマー
IT関連の職種、特にプログラミングやシステム開発は、一人で黙々と作業を進める時間が多く、自分のペースで働きやすい環境が整っていることが多いです。
- プログラマー・システムエンジニア
- Webデザイナー・コーダー
- テスター・品質管理エンジニア
在宅ワーク・リモートワーク
通勤によるストレスや職場での人間関係の緊張から解放されるリモートワークは、パニック障害の方にとって大きなメリットとなります。
- Webライター・コンテンツ制作
- データ入力・テープ起こし
- 翻訳・校正・編集
障害者雇用での就労
パニック障害で精神障害者保健福祉手帳を取得している方は、障害者雇用枠での就労も選択肢の一つとなります。障害者雇用では、障害特性に配慮した環境で働けるメリットがあります。
- 短時間勤務や時差出勤などの配慮が受けやすい
- 業務内容も本人の状態に合わせて調整される場合が多い
就労支援カウンセラー
パニック障害があっても、自分に合った職種や働き方を見つけることで、長く安定して働き続けることは十分に可能です。重要なのは、無理をせず自分の状態に合った職場環境を選ぶことです。就職活動の際は、就労支援サービスを活用しながら、自分に合った仕事を見つけていくことをおすすめします。
パニック障害と仕事を両立させるための重要ポイント
パニック障害を抱えながら仕事を続けるためには、症状と上手に付き合いながら働く工夫が必要です。ここでは、パニック障害と仕事を長期的に両立させるための重要なポイントについてご紹介します。
治療と仕事の両立方法
パニック障害と仕事を両立させる第一歩は、適切な治療を継続することです。治療を疎かにすると症状が悪化し、結果的に仕事にも支障をきたすことになりかねません。
- 定期的に通院する時間を確保する
- 主治医に仕事の状況を正確に伝える
- 薬の服用を忘れないよう工夫する
精神科医
生活習慣の整え方
パニック障害の症状管理には、規則正しい生活習慣が大きく影響します。特に以下の点に注意して生活習慣を整えましょう。
- 十分な睡眠時間を確保する
- バランスの取れた食事を心がける
- 適度な運動を定期的に行う
- カフェインやアルコールを控える
リラクゼーション技法の習得
パニック発作の予防や発作時の対処法として、様々なリラクゼーション技法を身につけておくことが効果的です。日常的に実践することで、ストレスへの耐性を高めることができます。
- 深呼吸法:ゆっくりと深く呼吸することで自律神経を整える
- 筋弛緩法:全身の筋肉を順番に緊張させてから緩める
- マインドフルネス:今この瞬間に意識を集中させる
IT企業に勤める40代男性
職場環境の調整と工夫
パニック障害と仕事を両立させるためには、自分の作業環境を可能な範囲で調整することも効果的です。小さな工夫の積み重ねが大きな違いを生み出します。
- デスクの位置を出口や窓の近くにしてもらう
- 通勤経路や通勤時間を工夫する
- 業務のスケジュールを自分のリズムに合わせて調整する
パニック障害と仕事を両立させるためには、治療の継続、生活習慣の改善、リラクゼーション技法の習得、職場環境の調整など、様々な側面からのアプローチが必要です。これらのポイントを意識しながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
辛いときは無理をせず、専門家や周囲のサポートを積極的に活用することも大切です。
実際にパニック障害と仕事を両立している方の体験談

パニック障害があっても、適切な対処法や環境調整によって仕事を続けている方は少なくありません。ここでは、実際にパニック障害と共に働き続けている方々の体験談をご紹介します。それぞれの工夫や乗り越え方から、参考になるポイントを見つけてみてください。
職場の理解を得て継続就労できた事例
事務職 30代女性 Aさん
転職して環境を変えた事例
ウェブデザイナー 40代男性 Bさん
フリーランスとして働く事例
イラストレーター 30代女性 Eさん
精神科医
これらの体験談から分かるように、パニック障害があっても様々な働き方で仕事を続けることは可能です。大切なのは自分の状態を理解し、無理のない働き方を選ぶこと、そして必要に応じて周囲の理解やサポートを求めることです。
自分に合った方法を見つけることで、パニック障害と共存しながら充実した職業生活を送ることができるでしょう。
パニック障害の方が利用できる就労支援制度とサービス
パニック障害の方が安心して就労するためには、様々な支援制度やサービスを活用することが有効です。ここでは、パニック障害の方が利用できる主な就労支援制度とサービスについて解説します。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害のある方が一般企業に就職するための準備や訓練を行う福祉サービスです。パニック障害の方にとっても、段階的に就労へ向けた準備ができる心強い味方となります。
- 利用期間は原則2年間
- 専門スタッフによる職業訓練や就活サポート
- コミュニケーションスキルなどの社会生活訓練
- 就職後の職場定着支援
就労移行支援事業所を経て就職した30代女性
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」)は、障害のある方の就職から職場定着、生活面の支援まで一体的にサポートする機関です。就労だけでなく生活全般の相談にも対応してくれます。
- 就職に向けた準備支援
- 就職活動のサポート
- 職場定着のための継続的な支援
- 日常生活や地域生活に関する助言
ハローワークの専門窓口
ハローワーク(公共職業安定所)には、障害のある方の就労を支援する専門窓口「障害者向け職業相談」があり、パニック障害の方も利用することができます。障害者手帳がない場合でも、医師の診断書があれば専門的な支援を受けられる場合があります。
- 障害者専門の職業相談員による相談
- 障害特性に配慮した求人情報の提供
- 履歴書の書き方や面接対策のアドバイス
リワーク支援プログラム
リワーク支援プログラムは、精神疾患で休職している方の職場復帰を支援するプログラムです。パニック障害で休職中の方が、スムーズに職場復帰するための準備をサポートします。
- 生活リズムの立て直し
- ストレス対処法の学習
- 再発予防のための対策立案
パニック障害の方が利用できる就労支援制度やサービスは多岐にわたります。自分の状態や目標に合わせて適切な支援を選ぶことで、就職活動や職場定着をスムーズに進めることができます。
一人で悩まず、これらの支援制度を積極的に活用し、専門家のサポートを受けながら就労を目指しましょう。
パニック障害の方が活用できる経済的支援制度
パニック障害の治療や就労の過程では、経済的な負担が生じることがあります。ここでは、パニック障害の方が活用できる様々な経済的支援制度について解説します。状況に応じて適切な制度を利用することで、経済的な不安を軽減しながら治療や就労に取り組むことができます。
自立支援医療制度
自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患の治療のために通院している方の医療費負担を軽減する制度です。パニック障害の治療も対象となります。
- 医療費の自己負担額が原則1割に軽減される
- 世帯の所得に応じて月額の自己負担上限額が設定される
- 通院医療費、投薬、デイケアなどが対象
パニック障害で通院中の40代女性
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガのために会社を休み、給与が支払われない場合に受け取ることができる健康保険の制度です。パニック障害で休職する場合にも活用できます。
- 連続する3日間を含め4日以上仕事を休んだ場合に支給される
- 支給額は直近12ヶ月の平均給与の約3分の2
- 最長1年6ヶ月まで受給可能
障害者手帳の取得
パニック障害の症状が生活や就労に一定以上の影響を与えている場合、精神障害者保健福祉手帳の取得が可能です。この手帳を持つことで、様々な経済的支援や福祉サービスを受けることができます。
- 所得税・住民税などの税制優遇
- 公共料金(携帯電話料金、NHK受信料など)の割引
- 公共交通機関の運賃割引(自治体や事業者によって異なる)
社会保険労務士
パニック障害の方が利用できる経済的支援制度は多岐にわたります。症状の程度や生活状況によって利用できる制度が異なりますので、まずは市区町村の窓口や医療機関のソーシャルワーカーに相談してみることをおすすめします。
経済的な不安を軽減することで、治療に専念したり、就労に向けた準備を進めたりすることができます。
パニック障害とは?症状と特徴を理解する
パニック障害は、突然の強い不安や恐怖を特徴とする精神疾患です。日本では100人に1〜3人の割合で発症するとされ、決して珍しい病気ではありません。ここでは、パニック障害の基本的な症状や特徴について解説します。
パニック発作とはどのような症状か
パニック障害の中核となる症状が「パニック発作」です。パニック発作は、前触れなく突然訪れる強い不安や恐怖の発作で、身体的な症状を伴うことが特徴です。
- 動悸・心拍数の増加
- 呼吸困難・息切れ感
- めまい・ふらつき感
- 発汗や手足の震え
- 胸部の痛みや不快感
- 死への恐怖や制御不能の恐怖
パニック障害と診断された30代女性
パニック障害になりやすい人の特徴
パニック障害の明確な原因は解明されていませんが、いくつかの要因が複合的に関わっていると考えられています。特に、次のような特徴を持つ方は発症リスクが高まる傾向があります。
- 真面目で責任感が強い
- 完璧主義の傾向がある
- 不安や緊張を感じやすい
- ストレスに敏感
パニック障害が仕事に与える影響
パニック障害は、仕事面にも様々な影響を及ぼす可能性があります。主な影響としては以下のようなものが挙げられます。
- 通勤電車や通勤バスに乗れないという状態になることがある
- 会議室や人前でのプレゼンテーションなどで不安を感じる
- 「また発作が起きるのではないか」という不安から集中力が低下する
精神科医
パニック障害は決して珍しい病気ではなく、適切な治療と対応により症状をコントロールしながら仕事を続けることは十分に可能です。自分の症状や特徴を理解し、必要な支援や環境調整を行うことで、充実した職業生活を送ることができます。
パニック障害の方が抱える仕事の困難と対処法
パニック障害があると、仕事場面でさまざまな困難に直面することがあります。この章では、パニック障害の方が仕事で抱えやすい具体的な困難と、それらを乗り越えるための実践的な対処法について解説します。
通勤時の困難と対処法
パニック障害の方にとって、通勤は大きな課題となることがあります。特に混雑した公共交通機関での移動は、パニック発作を引き起こす要因となりやすいものです。
効果的な対処法
- 時差通勤を導入し、混雑する時間帯を避ける
- 出口に近い車両や座席を選び、いつでも降りられる安心感を持つ
- 呼吸法やマインドフルネスなどのリラクゼーション技法を実践する
大手企業に勤める30代女性
職場でのパニック発作への対処法
職場でパニック発作が起きた場合や、起きそうになった場合の対処法を知っておくことで、不安を軽減し、適切に対応することができます。
効果的な対処法
- 発作の前兆を感じたら、一時的に席を外す勇気を持つ
- ゆっくりとした深呼吸を行い、自律神経を整える
- 水を飲むなど、具体的な行動で気を紛らわせる
職場の理解を得るための工夫
パニック障害について職場に伝えるべきかどうかは、多くの方が悩むポイントです。必要に応じて、適切な伝え方を工夫することが大切です。
- 信頼できる上司や同僚には、可能な範囲で状況を説明する
- 必要な配慮について具体的に伝える
- 外部の支援者(産業医、カウンセラーなど)に相談して職場との調整を依頼する
精神科医
パニック障害による仕事の困難は、決して乗り越えられないものではありません。適切な対処法を身につけ、必要に応じて環境調整を行うことで、症状と上手に付き合いながら働き続けることは十分に可能です。
まとめ:パニック障害があっても自分に合った仕事で活躍するために
パニック障害があっても、適切な治療と環境調整により、充実した職業生活を送ることは十分に可能です。自分のペースで進められる仕事や定型業務、在宅ワークなど自分に合った職種を選び、必要な配慮を職場に求めることが大切です。
精神科医
一人で抱え込まず、支援制度を積極的に活用し、自分らしい働き方を見つけていくことが、パニック障害と共に充実したキャリアを築く鍵となるでしょう。