公開日:2025.06.23 最終更新日:2025.06.25

パーソナリティ障害(パーソナリティー症)とは?種類や症状、原因から治療法まで徹底解説

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パーソナリティ障害(パーソナリティー症)とは?種類や症状、原因から治療法まで徹底解説
このコラムのまとめ
パーソナリティ障害(パーソナリティー症)とは何か、種類や症状、原因から診断・治療法まで徹底解説。A群・B群・C群の10タイプの特徴や日常生活・人間関係・仕事への影響と対処法、相談先や支援制度も紹介。適切な理解と支援により症状の改善や生活の質の向上が期待できることを解説しています。

もくじ

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パーソナリティ障害(パーソナリティー症)の基本情報

パーソナリティ障害(パーソナリティー症)は、極端に偏った思考パターンや行動様式により、本人が苦しんだり、人間関係に支障をきたしたりする精神疾患です。かつては「人格障害」とも呼ばれていましたが、現在はより適切な呼称として「パーソナリティ障害」または「パーソナリティー症」が使われています。

パーソナリティ障害とは何か

パーソナリティ障害は、通常青年期後期から成人期早期に現れる精神疾患で、一般人口の約15%に見られる比較的一般的な障害です。しかし、その症状が本人の性格や個性の一部と捉えられてしまうことも多く、治療につながりにくいという特徴があります。

主な特徴として、物事の捉え方や考え方が極端に偏っている、感情や衝動のコントロールが苦手、他者との関係を築くことが難しいなどが挙げられます。こうした特徴が長期間持続し、本人や周囲の人に苦痛や問題をもたらします。

パーソナリティ障害は「性格が悪い」ということではありません。ものの考え方や対人関係の築き方、感情の抑え方といったパーソナリティ機能の偏りから生じる障害です。

精神科医

パーソナリティ障害の特徴と症状

パーソナリティ障害は、自己機能と対人関係機能の2つの側面から理解できます。自己機能の問題としては、不安定な自己像や自己価値観、現実的な目標設定の困難さなどがあります。対人関係機能の問題としては、他者の感情や視点の理解困難、深い関係を築き維持することの難しさなどが見られます。

パーソナリティ障害の原因

パーソナリティ障害の原因は完全に解明されていませんが、生物学的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

遺伝的・生物学的要因

生まれつきの気質(情緒の不安定さ、衝動性など)や神経伝達物質のバランス、脳の構造や機能の特性などが関与しているとされています。

環境的・心理社会的要因

幼少期の養育環境や対人関係の経験も大きく影響します。不適切な養育、虐待やネグレクト、家族からの過度な批判や過保護、トラウマ体験などが、パーソナリティ障害の発症リスクを高める可能性があります。

これらの要因は単独ではなく、互いに影響し合いながらパーソナリティの発達に影響を与えます。生まれつきの気質的な脆弱性を持つ人が不適切な環境に置かれると、パーソナリティ障害が発症するリスクが高まるといわれています。

パーソナリティ障害への理解を深め、適切な治療や支援を受けることで、症状の改善や生活の質の向上が期待できます。診断は「レッテル」ではなく、より良い人生を歩むための第一歩と考えることが大切です。

パーソナリティ障害の治療法

パーソナリティ障害の治療は、症状の緩和や生活の質の向上を目指して行われます。治療を成功させるためには、本人の「治したい」という意思と長期的な取り組みが重要です。主な治療法として精神療法と薬物療法があります。

精神療法(心理療法)

パーソナリティ障害の治療では、精神療法が中心的な役割を果たします。思考パターンや行動を見直し、より適応的な対処法を身につけることを目指します。

認知行動療法

認知行動療法(CBT)は、歪んだ思考パターンを特定し修正して行動の改善を目指す療法です。否定的な自動思考に挑戦する方法を学び、問題解決スキルや感情調整能力を高めます。

弁証法的行動療法

弁証法的行動療法(DBT)は、特に境界性パーソナリティ障害に効果があるとされています。マインドフルネス、感情調整、対人関係スキル、苦痛耐性を高める技術を学びます。

DBTは「変化」と「受容」のバランスを重視します。「あなたはこのままでOK」という受容メッセージを伝えながらも、より健康的な行動パターンへの変化を促します。

臨床心理士

薬物療法

パーソナリティ障害そのものを薬で治すことはできませんが、併存する症状に対して薬物療法が有効な場合があります。抗うつ薬は抑うつ気分や不安、衝動性を和らげ、気分安定薬は感情の起伏を安定させるのに役立ちます。抗不安薬は急性の不安症状に、少量の抗精神病薬は強い不安や妄想的思考の改善に用いられることがあります。

薬物療法を行う際は、医師の指示に従い、定期的な診察を受けることが重要です。自己判断で用量を変えたり服用を中止したりすることは避けましょう。

効果的な治療のポイント

パーソナリティ障害の治療を効果的に進めるためには、現実的な目標設定、継続的な治療、適切な環境調整が重要です。「仕事を続ける」「安定した人間関係を築く」など、生活の質向上につながる具体的な目標を段階的に設定しましょう。

治療は短期間で完了するものではなく、長期的な取り組みが必要です。症状が改善しても定期的な通院やセルフケアを継続することで、安定した状態を維持できます。

  • 定期的に医療機関を受診する
  • 治療者との信頼関係を築く
  • 学んだスキルを日常生活で実践する
  • 健康的な生活習慣を維持する

また、治療効果を高めるためには適切な環境とサポート体制も重要です。家族への心理教育、ストレスの少ない環境づくり、サポートグループへの参加などが役立ちます。

パーソナリティ障害の治療には時間がかかりますが、適切な治療により症状の緩和や生活の質の向上が期待できます。早期に専門家に相談し、自分に合った治療法を見つけることが回復への第一歩となります。

パーソナリティ障害の家族・周囲の人の接し方

パーソナリティ障害を持つ方との関わりは、家族や友人など周囲の人にとって難しく感じることがあります。しかし、適切な接し方を理解することで、本人の回復を助け、より良い関係を築くことができます。

理解と適切な距離感

パーソナリティ障害は本人の意思や性格の悪さによるものではなく、精神機能の偏りから生じる障害です。まずは障害について正しく理解し、適切な距離感を保つことが大切です。

  • パーソナリティ障害に関する信頼できる情報を得る
  • 本人の自立を尊重し、過保護にならない
  • 自分自身の心身の健康を犠牲にしない
  • 対応できる範囲と限界を明確にする

パーソナリティ障害の方は、自分自身も自分の行動や感情に混乱していることが多いです。「わざとやっている」ではなく「コントロールが難しい状態にある」と理解することが、適切な支援の第一歩です。

精神保健福祉士

コミュニケーション方法

パーソナリティ障害の方とのコミュニケーションでは、誤解や感情的な衝突を避けるために、明確で一貫性のある方法を心がけることが大切です。

  • 簡潔で明確な言葉で話す
  • 感情的にならず、冷静な態度を保つ
  • 非難や批判を避け、具体的な行動について話す
  • 本人の感情や考えを否定せず、まずは傾聴する

感情的な衝突やトラブルが起きた場合は、その場で解決しようとせず、クールダウンの時間を取りましょう。問題行動そのものに焦点を当て、人格を否定することは避けてください。

共依存関係を避けるために

パーソナリティ障害の方との関係では、知らず知らずのうちに共依存関係に陥ることがあります。共依存とは、相手の問題に過剰に巻き込まれ、自分自身のニーズや健康を犠牲にしてしまう状態です。

健全な関係を維持するためには、自分自身の生活や趣味、人間関係を大切にし、「NO」と言える境界線を設けることが重要です。必要に応じて専門家のカウンセリングを受けたり、自助グループで経験を共有したりすることも有効です。

タイプ別の効果的な接し方

パーソナリティ障害のタイプによって、効果的な接し方は異なります。例えば、境界性パーソナリティ障害の方には一貫性のある対応と明確な境界線の設定が重要です。自己愛性パーソナリティ障害の方には、尊厳を尊重しつつも非現実的な要求には応じない姿勢が効果的です。回避性・依存性パーソナリティ障害の方には、小さな成功体験を積み重ねられるよう支援し、徐々に自立を促すことが大切です。

最も重要なのは、その人自身を一人の人間として尊重することです。

障害があっても、その人にはユニークな個性や能力、価値があります。障害の特性を理解しつつも、「障害=その人」と考えず、一人の人間として接することが良好な関係への第一歩となるでしょう。

パーソナリティ障害に関する相談先と支援

パーソナリティ障害に関する相談先と支援

パーソナリティ障害で悩んでいる方やその家族が適切な支援を受けることは、症状の改善や生活の質の向上につながります。ここでは、様々な相談先や支援サービスについて紹介します。

医療機関(精神科・心療内科)

パーソナリティ障害を含む心の問題については、まずは精神科や心療内科を受診することが基本です。パーソナリティ障害の治療に実績のあるクリニックや病院を選び、認知行動療法や弁証法的行動療法などの専門的な心理療法を提供している医療機関を探すとよいでしょう。

初めての受診は緊張するものです。必要なら信頼できる人に付き添ってもらうことも検討してください。相性の良い医師に出会えないこともあります。合わないと感じたら、別の医療機関に変更することも大切です。

精神科医

公的支援機関

各地域の保健センターや精神保健福祉センターでは、心の健康に関する相談を受け付けています。精神保健福祉士や保健師などの専門スタッフが対応し、必要に応じて適切な医療機関や支援サービスを紹介してくれます。また、生活面での困りごとについては、福祉事務所や地域包括支援センターに相談することができます。

当事者会・家族会

同じ悩みを持つ人同士が集まり、経験や情報を共有する当事者会や家族会も重要な支援リソースです。パーソナリティ障害の当事者会では、同じ障害を持つ人同士が経験や対処法を共有し、互いに支え合うことができます。家族会では、介護や対応の悩みを共有し、情報交換することができます。

仕事に関する相談窓口

ハローワークの障害者窓口では、障害のある方向けの専門的な就労支援を受けられます。障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)では、就労面と生活面の両方から総合的な支援を提供しています。また、就労移行支援事業所では、一般企業への就職を目指す方に、就労に必要なスキルの習得や訓練を提供しています。

経済的支援と福祉サービス

パーソナリティ障害によって日常生活や就労に困難がある場合、精神障害者保健福祉手帳を取得できることがあります。手帳を取得すると、税制上の優遇措置や公共交通機関の運賃割引などを受けられる場合があります。また、自立支援医療(精神通院医療)を利用すれば、通院医療費の自己負担が原則1割になります。

精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療の受給者証を持っている方は、障害の程度や生活状況に応じて、居宅介護(ホームヘルプ)や就労継続支援などの障害福祉サービスを利用できる場合もあります。

パーソナリティ障害に関する支援やサービスは地域によって異なる場合があります。

まずはお住まいの地域の保健センターや精神保健福祉センターに相談し、利用できるサービスについて情報を得ることをおすすめします。専門機関のサポートを受けることで、回復への道のりがより確かなものになるでしょう。

よくある質問(FAQ)

パーソナリティ障害(パーソナリティー症)に関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。ご自身やご家族の状況に当てはまる内容があれば参考にしてください。

パーソナリティ障害は治りますか?

パーソナリティ障害は完全に「治る」というよりも、適切な治療やサポートによって症状が軽減し、より適応的な生活を送れるようになることを目指します。近年の研究では、感情のコントロールが上手くなる、人間関係のトラブルが減少するなど、多くの面で改善が期待できることがわかっています。

パーソナリティ障害は長期的な視点で改善を目指す障害です。治療初期では目に見える変化が少ないこともありますが、継続的な治療によって多くの方が症状の軽減を経験されています。

精神科医

パーソナリティ障害と発達障害の違いは?

パーソナリティ障害は主に青年期から成人期早期に顕在化し、生物学的要因と環境要因の相互作用で発症します。一方、発達障害は幼少期から症状が存在し、主に脳の発達に関わる生物学的・遺伝的要因が原因です。パーソナリティ障害は状況により症状の表れ方が変動することがありますが、発達障害は状況によらず比較的一貫した特性として現れます。

パーソナリティ障害は障害者手帳の対象になりますか?

はい、パーソナリティ障害も精神障害者保健福祉手帳の対象となります。ただし、診断名だけでなく、障害による生活上の支障の程度が審査され、一定以上の障害があると認められる必要があります。単に診断を受けただけでは手帳取得は難しいことがあり、長期間の治療を受けても症状が改善せず、日常生活や社会生活に明らかな支障がある場合に認められることが多いです。

パーソナリティ障害は遺伝しますか?

パーソナリティ障害の遺伝性については完全に解明されていませんが、遺伝的要素が関与していることを示す研究結果があります。ただし、発症には遺伝だけでなく、家庭環境や養育方法、人生経験などの環境要因も大きく影響します。遺伝的要素があったとしても、適切な養育環境や支援があれば、発症リスクは低減できる可能性があります。

親にパーソナリティ障害がある場合、子どもへの影響はありますか?

親がパーソナリティ障害を持つ場合、子どもに様々な影響を与える可能性があります。ただし、親が適切な治療や支援を受けていれば、健全な親子関係を築くことは十分に可能です。

子どもへの影響を最小限にするためには、親自身が治療を受け症状の安定を図ること、子育てに関する支援や助言を求めること、他の家族メンバーや信頼できる大人のサポートを得ることが大切です。

パーソナリティ障害の種類と特徴

パーソナリティ障害は、思考や行動パターンの特徴によって10種類に分類され、さらにA群、B群、C群という3つのグループに大別されています。ここでは各群の特徴と代表的なパーソナリティ障害について解説します。

A群「風変わりな行動や思考を持つタイプ」

A群のパーソナリティ障害は、奇妙で風変わりな考え方や行動パターンが特徴で、社会的に孤立しやすい傾向があります。

妄想性(猜疑性)パーソナリティ障害

他者に対する強い不信感と猜疑心が特徴です。根拠がなくても他人を疑い、些細な出来事でも「自分を陥れようとしている」と解釈しがちです。

シゾイド(統合失調質)パーソナリティ障害

対人関係や社会的活動への関心が極めて薄く、感情表現が乏しいのが特徴です。一人でいることを好み、親密な関係を築くことに関心がありません。

B群「感情の波が激しく、衝動的なタイプ」

B群のパーソナリティ障害は、感情の起伏が激しく、演技的かつ衝動的な特徴を持ちます。対人関係において自己中心的な傾向があり、周囲の人を巻き込むことがあります。

境界性パーソナリティ障害

激しい感情の波、不安定な対人関係、自己像の不安定さ、顕著な衝動性が特徴です。見捨てられることへの強い恐怖から問題行動を起こすことがあります。

境界性パーソナリティ障害の方の行動は、「見捨てられないようにしたい」という強い欲求が根底にあることが多いです。自傷行為や激しい感情表現も、実は耐え難い内的な苦痛の表れなのです。

臨床心理士

自己愛性パーソナリティ障害

誇大な自己重要感、称賛への強い欲求、共感性の欠如が特徴です。表面的には自信に満ちていますが、内面では批判に極めて敏感で傷つきやすい面があります。

C群「内向的で不安感・恐怖心が強いタイプ」

C群のパーソナリティ障害は、強い不安や恐怖、過度の警戒心が特徴です。内向的で社会的状況を避ける傾向があります。

回避性パーソナリティ障害

否定的評価への恐怖から社会的状況を避ける傾向が特徴です。親密な関係を望みながらも、拒絶への恐怖から新しい関係を築くことができません。

強迫性パーソナリティ障害

秩序、完璧主義、コントロールへの過度のこだわりが特徴です。柔軟性がなく、細部にこだわるため、全体の目標を見失うことがあります。

パーソナリティ障害は単一のタイプで現れることもありますが、複数のタイプが合併することも少なくありません。また、うつ病や不安障害などの他の精神疾患と共存することも多いです。診断と治療においては、これらの複雑性を考慮した総合的なアプローチが重要です。

パーソナリティ障害の診断方法

パーソナリティ障害の診断は、一度の面接や簡単な質問だけでは行えない複雑なプロセスです。専門的な評価と慎重な判断が必要とされ、通常は複数回の診察を通じて行われます。

自己チェックリスト

医療機関を受診する前に、自分自身でパーソナリティ障害の可能性をチェックすることができます。物事の捉え方が極端である、感情反応が不釣り合いに強い、対人関係が不安定で問題が生じるなどの特徴が長期間続き、日常生活に支障をきたしている場合は、専門家への相談を検討しましょう。

自己チェックで「当てはまる項目が多い」と感じても、自己診断はせず、専門家に相談することをお勧めします。チェックリストはあくまで「気づき」のきっかけとして活用してください。

臨床心理士

専門医による診断プロセス

パーソナリティ障害の正式な診断は、精神科医や臨床心理士などの専門家によって行われます。診断は現在の症状や困りごと、症状の経過、幼少期からの生育歴、家族関係や対人関係の歴史などについての詳細な問診から始まります。

臨床面接に加えて、構造化面接(SCID-II)やミロン臨床多軸目録(MCMI)などの標準化された診断ツールが用いられることもあります。また、本人からの情報だけでなく、家族や友人など周囲の人からの情報も診断の参考にされます。

他の精神疾患との違いと合併症

パーソナリティ障害の診断では、気分障害や不安障害、発達障害など、類似した症状を持つ他の精神疾患との区別が重要です。パーソナリティ障害と他の精神疾患の主な違いは、症状の持続性と広がりにあります。パーソナリティ障害の特徴は、長期間続き、様々な状況で一貫して現れる傾向があります。

また、うつ病や不安障害、物質使用障害などの合併症がよく見られ、これらの存在は診断をより複雑にします。合併症の有無によって治療方針も変わってくるため、総合的な評価が必要です。

診断における注意点

パーソナリティ障害の診断は通常、成人期(18歳以上)に行われます。これはパーソナリティが青年期から成人期早期にかけて形成されるためです。また、文化的・社会的背景を考慮することも重要で、その人の文化から見て明らかに逸脱した行動パターンであるかどうかを判断する必要があります。

診断を受ける際には、それを「レッテル」ではなく、適切な治療や支援につなげるものと考え、自分の状態について正直に話すことが大切です。必要に応じて複数の専門家の意見を聞くこともよいでしょう。

パーソナリティ障害の生活への影響と対策

パーソナリティ障害は日常生活のさまざまな側面に影響を与えますが、適切な対策や工夫によって、これらの困難を軽減し、より充実した生活を送ることが可能です。

日常生活での困難と対処法

感情の波と衝動性のコントロール

特にB群のパーソナリティ障害では、感情の起伏が激しく、衝動的な行動に走りやすいという特徴があります。些細なきっかけで感情が爆発する、怒りや不安をコントロールできない、衝動的な買い物や危険な行動をとってしまうなどの問題が生じることがあります。

対処法としては、マインドフルネス瞑想で「今、ここ」に意識を向ける練習をする、感情日記をつけてパターンを把握する、強い感情が生じたら行動する前に一呼吸置くなどが効果的です。

感情をコントロールするコツは、「抑え込む」ことではなく「認識して受け入れる」ことです。感情そのものは良くも悪くもないと理解し、その感情に基づいて取る行動を選択できるようになることが大切です。

臨床心理士

人間関係への影響と接し方

パーソナリティ障害の中核的な問題の一つは対人関係における困難です。自分の対人関係パターンを認識し、より健全な関係を築くためのスキルを身につけることが重要です。

境界線の設定と尊重(自分と他者の境界線を明確にする)、効果的なコミュニケーション(「I(わたし)メッセージ」を使う、積極的に聴く)などのスキルが役立ちます。

職場・仕事での課題と適した職業

パーソナリティ障害のタイプに合った職業を選ぶことで、職場でのストレスを軽減し、能力を発揮しやすくなります。例えば、A群には対人関係が少なく一人で集中して取り組める業務、B群にはエネルギーや情熱を発散できる短期的な成果が見えやすい仕事、C群には予測可能で安定した環境で細部にこだわれる仕事が向いていることが多いです。

職場での対処法としては、自分の強みと弱みを理解し必要に応じて配慮を求める、業務上の指示は可能な限り書面で確認する、感情が高ぶったら一時的に場を離れるなどが効果的です。

パーソナリティ障害があっても、自分に合った環境と適切な対処法を見つけることで、充実した生活を送ることは十分に可能です。専門家のサポートを受けながら、少しずつ自分に合った方法を見つけていきましょう。

まとめ

パーソナリティ障害(パーソナリティー症)は、思考や感情、行動、対人関係のパターンが極端に偏り、日常生活に支障をきたす精神疾患です。A群、B群、C群の3つのグループに分類される10種類のタイプがあり、それぞれに特徴的な症状があります。

治療法としては精神療法が中心となり、継続的な取り組みによって症状の改善が期待できます。また、適切な支援を受けながら、自分の特性に合った生活環境や職業を選ぶことで、より充実した生活を送ることが可能です。

パーソナリティ障害は決して「治らない」ものではなく、適切な理解と支援、そして本人の努力によって、より良い人生を築いていくことができるのです。

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