公開日:2025.08.22

障害者手帳申請の完全ガイド:医師の診断書取得から手続き完了まで

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障害者手帳申請の完全ガイド:医師の診断書取得から手続き完了まで
このコラムのまとめ
障害者手帳の申請方法を徹底解説。身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の種類ごとの特徴、必要書類、医師の診断書取得のコツから申請手順まで完全ガイド。取得のメリット・デメリット、更新方法、よくある質問も網羅し、スムーズな手続きをサポートします。

障害者手帳とは?種類と特徴を解説

障害者手帳は、障害のある方が様々な支援やサービスを受けるための公的な証明書です。この手帳により、税金の控除や公共料金の割引などの福祉サービスを利用できるようになります。

障害者手帳の3種類とその対象

障害者手帳は大きく分けて以下の3種類があります。

  • 身体障害者手帳:視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害(心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓の機能障害、HIVによる免疫機能障害)を持つ方が対象
  • 精神障害者保健福祉手帳:統合失調症、うつ病・躁うつ病などの気分障害、てんかん、発達障害などの精神疾患を持つ方が対象
  • 療育手帳:知的障害のある方が対象(自治体によって「愛の手帳」「愛護手帳」など名称が異なる場合があります)

身体障害と知的障害、精神障害など複数の障害がある場合は、それぞれの手帳を取得することができます。

福祉担当者

障害等級について

障害者手帳には障害の程度を示す「等級」が設定されています。

手帳の種類 等級区分
身体障害者手帳 1級~6級(1級が最も重度)
精神障害者保健福祉手帳 1級~3級(1級が最も重度)
療育手帳 自治体により異なる(A・B等)

手帳で受けられる主な支援

障害者手帳を持つことで、以下のような支援を受けられます。

  • 税金の控除(所得税、住民税など)
  • 公共交通機関の運賃割引
  • 携帯電話料金の割引
  • NHK放送受信料の減免
  • 障害者雇用枠での就労機会
  • 医療費の助成
  • 補装具費の支給

これらのサービスを受けるためには、手帳の申請が必要です。次の章からは、各手帳の申請方法や必要書類について詳しく説明していきます。

障害者手帳取得のメリットとデメリット

障害者手帳の取得を検討する際は、メリットとデメリットを理解しておくことが重要です。自分にとって必要かどうかをよく考えましょう。

障害者手帳取得の主なメリット

障害者手帳を取得することで、多くの経済的・社会的メリットがあります。

  • 経済的な支援:所得税や住民税の控除、公共料金の割引、医療費助成など
  • 就労支援:障害者雇用枠での就職機会、職場での合理的配慮
  • 福祉サービス:日常生活用具の給付、補装具費の支給、各種支援サービス

精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は、携帯電話会社の割引サービスが大きなメリットです。基本料金の割引が適用されます。

携帯ショップ店員

障害者手帳取得の考えられるデメリット

一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

  • 心理的な負担:「障害者」というレッテルへの抵抗感や自己認識の変化
  • 手続きの負担:診断書取得の費用(5,000~8,000円程度)や定期的な更新手続き
  • 制度上の制限:一部の資格や免許の取得・更新に影響する場合がある

取得判断のポイント

障害者手帳の取得を検討する際は、以下の点を考慮しましょう。

  1. 現在の生活状況や障害の程度を客観的に評価する
  2. 取得によって具体的にどのようなサービスが利用できるか確認する
  3. 心理的な負担と得られるメリットのバランスを考慮する

障害者手帳は、状況や必要性に応じて取得を検討するものです。

メリットとデメリットを理解した上で、自分に最適な選択をしましょう。手帳がなくても利用できる福祉サービスもありますので、自治体に確認してみることをおすすめします。

身体障害者手帳の申請方法

身体障害者手帳は、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害がある方を対象とした手帳です。ここでは申請手順から交付までを解説します。

申請の流れと手順

  1. 申請書類の入手:市区町村の障害福祉課窓口で必要書類を入手
  2. 指定医の確認:都道府県知事が指定する医師(指定医)を確認
  3. 診断書作成依頼:指定医に診断書・意見書の作成を依頼
  4. 市区町村窓口への提出:必要書類を提出
  5. 審査・交付:障害認定されると手帳が交付される

身体障害者手帳の申請で重要なのは「指定医」の確認です。どんな医師でも診断書を書けるわけではなく、指定医でなければなりません。

福祉事務所職員

必要書類一覧

  • 身体障害者手帳交付申請書
  • 指定医による診断書・意見書
  • 本人の顔写真(縦4cm×横3cm)
  • 印鑑
  • マイナンバーがわかるもの
  • 本人確認書類

診断書の作成には5,000~8,000円程度の費用がかかります。自治体によっては助成制度もあります。

申請から交付までの期間

申請から手帳交付までは通常1~2ヶ月程度かかります。書類に不備があったり、障害の状態が判断しづらい場合は、さらに時間がかかることがあります。

申請時の注意点として、診断書は作成日から3ヶ月以内に申請する必要があります。また、障害は「固定」(治療によって改善の見込みがない状態)していることが前提です。不明な点があれば、市区町村の窓口に相談しましょう。

精神障害者保健福祉手帳の申請方法

精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症、うつ病、躁うつ病などの気分障害、発達障害などの精神疾患がある方を対象としています。申請方法から交付までの流れを解説します。

申請の流れと手順

精神障害者保健福祉手帳の申請は「診断書による申請」と「障害年金証書による申請」の2つの方法があります。

  1. 市区町村窓口で申請書類を入手
  2. 診断書の取得または障害年金証書のコピーを準備
  3. 必要書類を市区町村窓口に提出
  4. 審査後、認定されると手帳が交付される

精神障害者保健福祉手帳の申請で最も重要なポイントは「初診日から6ヶ月以上経過していること」です。精神疾患の症状は変化することがあるため、ある程度の期間をおいて判断します。

精神保健福祉士

必要書類

  • 診断書による申請の場合:申請書、精神疾患の診断書(初診から6ヶ月以上経過後作成)、顔写真、印鑑、マイナンバー、本人確認書類
  • 障害年金証書による申請の場合:申請書、障害年金証書のコピー、同意書、顔写真、印鑑、マイナンバー、本人確認書類

等級と申請期間

精神障害者保健福祉手帳の等級は1級(重度)から3級(軽度)まであり、精神疾患の状態と日常生活への影響度で判断されます。申請から交付までは約2ヶ月程度かかりますが、状況によっては3~4ヶ月かかる場合もあります。

この手帳の有効期限は2年間で、継続して必要な場合は更新手続きが必要です。有効期限の3ヶ月前から更新申請が可能ですので、診断書の準備も含めて早めに手続きを始めましょう。

療育手帳の申請方法

療育手帳は、知的障害のある方を対象とした手帳です。地域によって「愛の手帳」「愛護手帳」など名称が異なる場合があります。申請から取得までの流れを解説します。

申請の流れと手順

療育手帳の申請方法は自治体によって異なりますが、18歳未満と18歳以上で判定機関が異なる点が特徴です。

  1. 市区町村窓口で申請方法を確認・書類入手
  2. 申請書の提出
  3. 判定機関での検査・面接予約
  4. 判定機関での検査受検(18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所など)
  5. 判定結果に基づき手帳が交付される

療育手帳は、身体障害者手帳や精神障害者手帳と異なり、事前の医師の診断書は必須ではありません。代わりに判定機関での検査結果で判断されます。

児童相談所職員

必要書類と判定

  • 療育手帳交付申請書
  • 本人の顔写真(縦4cm×横3cm)
  • 印鑑
  • マイナンバーがわかるもの
  • 本人確認書類
  • 母子健康手帳(18歳未満の場合、参考資料として)

判定では知能検査と面接が行われ、知能指数(IQ)だけでなく日常生活の適応能力も評価されます。判定区分は自治体によって「A・B」「1度~4度」などと異なります。

申請から交付までは約2ヶ月程度かかりますが、判定機関の混雑状況によっては3~4ヶ月かかる場合もあります。有効期限は自治体によって異なり、2~5年ごとの更新が必要な場合があります。

障害者手帳の更新と等級変更

障害者手帳は種類によって更新の必要性が異なります。また、障害の状態が変化した場合は等級変更の申請が可能です。

更新時期と必要な手続き

  • 身体障害者手帳:基本的に更新不要。ただし、再認定の指定がある場合は期限内に手続きが必要
  • 精神障害者保健福祉手帳:2年ごとの更新が必要。有効期限の3ヶ月前から申請可能
  • 療育手帳:自治体によって異なる。2~5年ごとの更新や特定年齢での更新など

精神障害者保健福祉手帳は自動更新されません。更新忘れによって手帳が失効すると、各種サービスが受けられなくなるので注意しましょう。

障害福祉課職員

等級変更を希望する場合の申請方法

障害の状態が変化した場合、有効期限内でも等級変更の申請ができます。

  1. 市区町村窓口で等級変更申請書を入手
  2. 新しい診断書を取得(身体・精神)または再判定を受ける(療育)
  3. 必要書類を窓口に提出
  4. 審査後、新しい等級の手帳が交付される

更新・変更時の診断書について

診断書の作成には費用(5,000~8,000円程度)がかかりますが、低所得者向けの助成制度がある自治体もあります。精神障害者保健福祉手帳の場合、障害年金を受給している方は診断書の代わりに年金証書のコピーで申請できるため費用を節約できます。

手帳の更新や等級変更は、適切な支援を受け続けるために重要です。障害の状態が変化した場合は、現状に合った等級の手帳を持つようにしましょう。

医師の診断書:申請の最重要ステップ

障害者手帳申請で最も重要なのが医師の診断書です。障害の状態を客観的に証明するこの書類によって、障害の有無や程度が判断されます。

診断書の種類と取得方法

  • 身体障害者手帳:「身体障害者診断書・意見書」を都道府県知事指定の「指定医」のみが作成可能
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神科医が作成する「精神障害者保健福祉手帳用診断書」(初診から6ヶ月以上経過後に作成)
  • 療育手帳:事前の医師の診断書は必須ではなく、判定機関での検査結果で判断

身体障害者手帳の診断書は必ず「指定医」に書いてもらう必要があります。かかりつけ医が指定医でない場合は、指定医のいる医療機関を紹介してもらいましょう。

障害福祉課職員

診断書作成を依頼する際のポイント

診断書に障害の状況を適切に反映してもらうために、医師には日常生活での困難を具体的に伝えましょう。「何メートル歩くと休憩が必要」「文字を読むのに○分かかる」など、具体的な例を挙げると効果的です。

診断書作成には5,000~8,000円程度の費用がかかります。低所得者向けの助成制度がある自治体もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。

診断書は作成日から3ヶ月以内に申請する必要があります。取得したらできるだけ早く申請手続きを進めましょう。

申請時によくある質問と回答

障害者手帳の申請を考える際、様々な疑問が生じるものです。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。

代理申請は可能か

質問:病気や障害のため、本人が窓口に行くことが難しい場合、家族が代わりに申請できますか?

申請者

回答:はい、代理申請は可能です。ご家族や支援者も代理人になれます。ただし、委任状や代理人の身分証明書など追加書類が必要です。

障害福祉課職員

複数の手帳を持つことはできるか

複数の障害がある場合、それぞれの障害に対応した手帳を同時に所持することができます。例えば、身体障害と精神障害がある方は両方の手帳を取得できます。それぞれの手帳で受けられるサービスが異なる場合もあるため、対象となる障害があれば申請を検討するとよいでしょう。

申請が却下された場合の対応

申請が却下された場合でも、以下の対応が可能です。

  1. 却下理由の確認
  2. より詳細な診断書を用意して再申請
  3. 別の医師の診断を受ける
  4. 障害者相談支援事業所に相談
  5. 行政不服審査法に基づく審査請求(却下通知から3ヶ月以内)

申請が却下されても、諦める必要はありません。状況によっては再申請で認定される可能性があります。

まとめ:スムーズな申請のためのチェックリスト

障害者手帳の申請をスムーズに進めるために、重要なポイントをチェックリストにまとめました。

申請前の準備

  • 対象となる手帳の種類を確認
  • 市区町村窓口で申請方法を相談
  • 診断書様式を入手し医師に依頼
  • 必要書類を揃える(写真、マイナンバー、本人確認書類など)

申請から交付までは数ヶ月かかる場合があります。特に年度替わりは混雑しやすいので、余裕を持って申請しましょう。

市区町村窓口担当者

障害者手帳の申請は複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ丁寧に進めれば必ず取得できます。困ったときは一人で悩まず、窓口の担当者や相談支援専門員に相談してください。

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