公開日:2025.05.23 最終更新日:2025.05.23

就労継続支援A型とB型の違いを徹底解説|対象者・仕事内容・給与面の比較

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就労継続支援A型とB型の違いを徹底解説|対象者・仕事内容・給与面の比較
このコラムのまとめ
就労継続支援A型は雇用契約を結び、最低賃金が保証される安定した働き方を提供します。一方、B型は契約なしで柔軟な支援を受けられますが、給与は低めです。どちらを選ぶかは、障害の特性や働く環境に応じて慎重に決めることが重要です。自分に合った支援を受けるために、各型の特徴をよく理解しましょう。

就労継続支援A型とB型の違いを比較

就労継続支援A型とB型は、障害のある方の就労をサポートする福祉サービスですが、運営形態や対象者、収入面などで大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った支援を選ぶことが大切です。

雇用契約の有無

A型とB型の最も大きな違いは、雇用契約を結ぶかどうかという点です。

  • 就労継続支援A型:事業所と雇用契約を結び、労働者として働きます
  • 就労継続支援B型:雇用契約を結ばず、福祉的就労として働きます

A型では労働基準法が適用され、雇用保険や社会保険の加入対象となる場合があります。一方B型では、労働者ではなく「利用者」という立場になります。

賃金・工賃の違い

雇用契約の有無による違いは、収入面にも大きく影響します。

就労継続支援A型 就労継続支援B型
「賃金」として支払われる 「工賃」として支払われる
最低賃金が保障される 最低賃金の保障はない
月額平均約8万1,645円 月額平均約1万6,507円

厚生労働省の調査によると、A型の平均月額賃金は8万1,645円、B型の平均月額工賃は1万6,507円となっています。ただし、働く日数・時間や事業所によって金額は変わります。

出典:

対象者の違い

就労継続支援A型は、一般企業での就労は難しいものの、雇用契約に基づいた就労が可能な方が対象です。原則18歳から65歳未満の方が対象ですが、条件を満たせば65歳以上でも利用可能です。

一方、就労継続支援B型は年齢制限がなく、雇用契約に基づく就労が困難な方が対象です。体調に波がある方や、障害の特性から安定した勤務が難しい方などに適しています。

A型は「雇用」、B型は「福祉」という側面が強いと理解するとわかりやすいでしょう。A型は一般就労に近い形態で、B型はより柔軟な働き方ができます。

就労支援専門家

利用条件の違い

就労の安定性や継続性という観点でも、A型とB型には違いがあります。

  • 就労継続支援A型:安定した就労が求められ、勤務時間や日数に条件があります。月の休みが最大8日程度のところもあります。
  • 就労継続支援B型:体調や障害の状態に合わせて自分のペースで利用できます。1日1時間や週1日からの利用が可能な事業所もあります。

利用期間については、どちらも制限はありませんが、A型は雇用契約を結ぶため、契約期間が定められている場合は契約更新の有無によって利用できる期間が変わることがあります。

就労継続支援A型の特徴とメリット

就労継続支援A型は、一般企業での就労が難しい障害のある方が、雇用契約を結んで働くことができる福祉サービスです。最低賃金が保障され、より一般就労に近い形で働くことができます。

A型の対象者|一般企業への就職が難しい方向け

就労継続支援A型の対象となるのは、障害や難病などにより一般企業での就労が困難な方のうち、雇用契約に基づいた就労が可能な方です。原則18歳から65歳未満の方が対象ですが、条件を満たせば65歳以上でも利用できます。

  • 特別支援学校を卒業後、一般企業への就職活動をしたが採用に至らなかった方
  • 就労移行支援を利用したが、一般就労に結びつかなかった方
  • 一般企業で働いていたが、障害や体調の問題で離職した方

A型の仕事内容|実際にどんな仕事をするの?

就労継続支援A型事業所での仕事内容は多岐にわたります。一般企業と同様の業務内容が多く、以下のような仕事があります。

  • カフェやレストランでの調理・接客業務
  • 事務作業やデータ入力などのオフィスワーク
  • 清掃業務(オフィスビルやホテルなど)
  • 製造業における部品の組立や加工
  • 商品の検品・梱包・発送作業

自分の特性や興味、スキルに合った仕事内容の事業所を選ぶことが大切です。勤務時間は一般企業よりも短い傾向があり、多くの事業所では4〜6時間程度の勤務時間となっています。

A型の賃金水準|最低賃金が保証される

就労継続支援A型の最大の特徴は、雇用契約を結ぶため最低賃金が保障されることです。厚生労働省の調査によると、月額平均賃金は81,645円(令和3年度)となっています。

A型事業所では、障害特性への理解があるスタッフのサポートを受けながら働けるのが大きな強みです。就労に関する相談だけでなく、生活面の困りごとなども含めて支援を受けられるので安心です。

就労支援コーディネーター

A型の利用期間|期限はある?

就労継続支援A型には原則として利用期間の制限はなく、事業所との雇用関係が続く限り、働き続けることが可能です。ただし、雇用契約に契約期間が定められている場合は、契約更新の有無によって利用できる期間が変わることがあります。

A型のメリットまとめ

  1. 経済的な安定:最低賃金が保障され、安定した収入が得られます
  2. 職業能力の向上:一般就労に近い環境で実践的なスキルを身につけられます
  3. 社会参加の機会:雇用契約に基づく就労を通じて、社会の一員としての自信が得られます
  4. 将来の保障:条件を満たせば社会保険に加入でき、将来の年金受給にもつながります

就労継続支援B型の特徴とメリット

就労継続支援B型は、障害や難病により一般企業やA型事業所での就労が困難な方に、雇用契約を結ばずに働く場を提供する福祉サービスです。体調や障害の状況に合わせて柔軟に働くことができるため、無理なく社会参加を実現したい方に適しています。

B型の対象者|働く意欲はあるが体調等に不安がある方向け

就労継続支援B型は年齢制限がなく、幅広い方を対象としています。主に以下のような方が利用しています。

  • 就労経験はあるが、年齢や体力面で一般就労が難しくなった方
  • 障害や病気により、決まった時間に安定して働くことが難しい方
  • 50歳に達している方または障害基礎年金1級を受給している方
  • 就労移行支援を利用したが、一般就労やA型での就労が難しいと判断された方

B型事業所は「働く場」であると同時に「居場所」としての機能も持っています。同じ障害を持つ仲間と共に過ごしながら、自分のペースで働くことで自信を回復していく方も多いです。

障害福祉サービス管理責任者

B型の仕事内容|具体的な作業例

就労継続支援B型の作業内容は事業所によって多種多様ですが、比較的シンプルで細分化された作業が中心となっています。

  • 軽作業:封入作業、シール貼り、部品の組み立て、検品作業など
  • 製造:クッキーやパンなどの製菓・製パン、手工芸品の制作など
  • 農作業:野菜や花の栽培、収穫作業など
  • 清掃:施設内清掃、リネン関係(洗濯、アイロンがけなど)
  • 事務作業:データ入力、書類整理、名刺作成など

B型事業所の多くは、週5日程度の開所日がありますが、利用者は自分の体調や状況に合わせて利用日数や時間を調整できます。1日1時間からの利用や週1回からの利用が可能な事業所も多いです。

B型の工賃水準|平均いくらもらえる?

就労継続支援B型では、雇用契約を結ばないため、労働の対価として「工賃」が支払われます。厚生労働省の調査によると、令和3年度の全国平均工賃は月額16,507円、時間額に換算すると233円となっています。

B型の利用期間|いつまで利用できる?

就労継続支援B型の利用期間に制限はなく、利用者の希望や状況に応じて長期間利用することが可能です。実際、多くの方が数年から数十年にわたって同じB型事業所を利用しています。

B型のメリットまとめ

  1. 柔軟な働き方:体調や障害の状況に合わせて、利用日数や時間を調整できます
  2. 年齢制限がない:高齢の方でも利用可能で、65歳以上の方も多く利用しています
  3. 選考がない:A型と異なり採用選考がないため、利用しやすい環境です
  4. 居場所としての機能:働くだけでなく、仲間との交流や生活支援も受けられます

就労継続支援とは?障害者の就労をサポートする制度

就労継続支援とは?障害者の就労をサポートする制度

就労継続支援とは、障害や難病などが原因で一般企業での就労が困難な方に向けて、働く場所や機会を提供し、知識や能力の向上をサポートする障害福祉サービスです。障害者総合支援法に基づいて提供されるこのサービスは、障害のある方の社会参加と経済的自立を支える重要な仕組みとなっています。

就労継続支援の目的と基本的な仕組み

就労継続支援の主な目的は以下の3つです。

  • 働く場の提供:一般企業での就労が難しい方に、障害特性に配慮した環境で働く機会を提供します
  • 能力・知識の向上:就労に必要なスキルや知識を身につける支援を行います
  • 社会参加の促進:働くことを通じて社会とのつながりを持ち、生きがいや自己実現を支援します

就労継続支援は、障害者総合支援法の施行に伴い、従来の共同作業所や授産施設に代わるものとして設立されました。障害種別を問わず、必要なサービスを利用できる仕組みになっています。

就労継続支援は「福祉」と「就労」を結びつける重要な制度です。個々の障害特性に合わせた環境調整や支援を行うことで、障害があっても「はたらく」という当たり前の権利を保障する役割を担っています。

障害福祉サービス管理責任者

就労継続支援の種類

就労継続支援には「A型」と「B型」の2種類があり、利用者の状況や希望に応じて選択できます。

就労継続支援A型 就労継続支援B型
雇用契約あり 雇用契約なし
最低賃金保障あり 最低賃金保障なし
原則18歳〜65歳未満 年齢制限なし
安定した就労が必要 体調に合わせて柔軟に働ける

就労継続支援事業所の体制

就労継続支援事業所には、専門のスタッフが配置されています。主に以下のような職種のスタッフが支援にあたります。

  • サービス管理責任者:個別支援計画の作成や支援内容の管理などを担当
  • 職業指導員:作業や業務に関する指導、技術向上のサポートを行う
  • 生活支援員:日常生活や健康管理、対人関係などの相談支援を担当

就労継続支援事業所の規模は、最低利用者10人からと設定されているため、一般企業よりも小規模な事業所が多く見られます。小規模であることで、きめ細かな個別対応が可能になっているというメリットもあります。

就労継続支援と他の障害者就労支援サービスとの違い

障害のある方の就労を支援するサービスには、就労継続支援の他にも「就労移行支援」や「就労定着支援」などがあります。それぞれの特徴や違いを理解して、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。

就労移行支援との違い

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方に対して、必要なスキルの習得や就職活動のサポートを行う福祉サービスです。

項目 就労継続支援 就労移行支援
目的 働く場の提供と支援 一般就労に向けた訓練と就職支援
利用期間 制限なし 原則2年間
賃金・工賃 あり 基本的になし
一般就労への移行率 A型:約27%、B型:約11% 約59%

就労移行支援は「就職するための準備期間」、就労継続支援は「働き続ける場所」と考えるとわかりやすいでしょう。一般就労を目指している方は就労移行支援を、まずは働きながら力をつけたい方は就労継続支援を選ぶことが多いです。

就労支援コーディネーター

出典:

就労定着支援との違い

就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支援などを経て一般企業に就職した障害のある方が、職場に定着できるよう支援するサービスです。

  • 目的:就労継続支援は「働く場の提供」、就労定着支援は「一般就労後の職場定着支援」
  • 対象者:就労継続支援は「一般就労が困難な方」、就労定着支援は「一般就労に移行した方」
  • 利用期間:就労継続支援は「制限なし」、就労定着支援は「最長3年間」
  • 主な支援内容:就労継続支援は「就労の場の提供」、就労定着支援は「職場訪問、相談支援」

自分に合った支援サービスの選び方

障害のある方が自分に合った就労支援サービスを選ぶ際のポイントとして、以下のような観点が挙げられます。

  • 一般企業での就労を目指したい → 就労移行支援
  • 障害に配慮された環境で安定して働きたい → 就労継続支援A型
  • 体調や障害に合わせて自分のペースで働きたい → 就労継続支援B型
  • すでに就職しているが職場での悩みがある → 就労定着支援

自分の状況や特性を客観的に評価し、現在の目標に合ったサービスを選ぶことが大切です。迷った場合は、相談支援専門員や医療機関の専門職などに相談すると良いでしょう。

就労継続支援の利用方法と流れ

就労継続支援を利用するには、いくつかの手続きが必要です。ここでは、利用開始までの流れや申請方法、事業所の選び方などについて解説します。

STEP1:相談・情報収集

就労継続支援の利用を考える場合、まずは情報収集から始めましょう。相談できる窓口はいくつかあります。

  • 市区町村の障害福祉窓口:障害福祉サービスの基本的な窓口です
  • 相談支援事業所:障害のある方の地域生活をサポートする専門機関です
  • 障害者就業・生活支援センター:就労と生活の両面から支援を行います
  • ハローワーク:障害者専門の窓口があります

これらの窓口では、制度説明や地域の事業所情報などについて相談できます。インターネットや福祉情報サイトでも事業所の情報を収集できます。

STEP2:事業所見学・体験利用

希望する事業所が見つかったら、実際に見学や体験利用をしてみましょう。事業所の雰囲気や作業内容、支援スタッフとの相性などを直接確認することが大切です。

事業所選びは「肌感覚」も大切です。「ここで働いてみたい」と思えるか、「スタッフに相談しやすそうか」など、自分の感覚を大切にしましょう。実際に作業を体験することで、自分に合った仕事かどうか判断できます。

就労支援員

STEP3:利用申請手続き

事業所を決めたら、就労継続支援を利用するための申請手続きを行います。「障害福祉サービス受給者証」の取得が必要です。

  1. 市区町村の障害福祉窓口に申請:必要書類を提出します
  2. 認定調査:障害の状況や生活状況について調査が行われます
  3. サービス等利用計画案の作成:相談支援事業所などで作成します
  4. 支給決定:自治体から「障害福祉サービス受給者証」が交付されます

申請に必要な書類は自治体によって異なりますが、障害の状況がわかる書類(障害者手帳、診断書など)や本人確認書類などが一般的です。

STEP4:契約・利用開始

受給者証が交付されたら、事業所との契約を結び、利用を開始します。A型の場合は雇用契約も締結します。個別支援計画が作成され、それに基づいてサポートが始まります。

利用開始後も、困ったことや不安なことがあれば、スタッフに相談しましょう。定期的に支援計画の見直しが行われ、状況や目標に合わせて支援内容が調整されます。

就労継続支援の利用料金について

就労継続支援A型・B型を利用する際には、障害福祉サービスの一環として利用料金が発生する場合があります。ここでは、利用料金の仕組みや計算方法、減免制度などについて解説します。

自己負担額の計算方法

就労継続支援は障害福祉サービスに位置づけられているため、サービスにかかる費用の一部を利用者が負担する仕組みになっています。自己負担額は、原則としてサービス費用の1割ですが、所得に応じて月額の上限が設定されています。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯
(所得割16万円未満)
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

生活保護世帯や市町村民税非課税世帯の方は利用料が無料となります。実際には、就労継続支援の利用者の多くがこれらの区分に該当するため、無料で利用できるケースが大半です。

18歳以上の場合、親と同居していても親の収入は世帯収入に含まれません。本人と配偶者のみの収入で判断されるため、本人に収入がなければ無料で利用できるケースが多いです。

相談支援専門員

減免制度について

就労継続支援の利用料について、さらに負担を軽減するための減免制度があります。

  • 高額障害福祉サービス費制度:複数のサービスを利用する場合、合算して上限額を適用
  • 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度:自治体独自の減免制度
  • 災害等による減免:災害や失業などで収入が大幅に減少した場合

利用料以外にも、食費や交通費などの実費負担が発生する場合があります。通所のための交通費については、自治体によって助成制度が設けられていることもあるため、市区町村に確認してみましょう。

まとめ:自分に合った就労継続支援を選ぼう

就労継続支援A型とB型はそれぞれに特徴があり、どちらが「優れている」ということはありません。大切なのは自分の状況や希望に合ったサービスを選ぶことです。

自分の体調や能力、希望に合った場所を選ぶことが最も重要です。無理をして体調を崩してしまっては本末転倒ですので、「続けられる」ことを第一に考えましょう。迷った場合は、体験利用を通じて実際の雰囲気を確かめることをお勧めします。

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