公開日:2025.05.30 最終更新日:2025.05.30

クローズ就労の徹底ガイド:メリット・デメリットと成功するためのポイント

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クローズ就労の徹底ガイド:メリット・デメリットと成功するためのポイント
このコラムのまとめ
クローズ就労は、自分の障害を企業に開示せず、一般雇用枠で働く方法です。これにより給与水準が高く、職種の選択肢が広がる反面、障害への配慮が受けられない、体調管理が難しくなるなどのデメリットもあります。成功するためには、適切な就職先選びや自己管理が重要です。自分の特性に合った働き方を選ぶことが長期的な活躍につながります。

もくじ

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クローズ就労とは?基本的な意味と考え方

クローズ就労とは、自分の障害や病気を会社に開示せずに就労することです。障害者枠ではなく一般雇用の求人に応募し、障害について伝えないまま働く選択肢です。

障害を非開示で就労する選択肢

クローズ就労は、障害を持つ方の就労スタイルの一つです。障害の有無を企業に申告することは法的に義務付けられておらず、個人の判断に委ねられています。

クローズ就労とは、自身の障害を開示せずに一般雇用で働く働き方です。障害者雇用の枠で働くイメージが一般的かもしれませんが、一般雇用で働く選択肢もあります。

就労支援専門家

クローズ就労を選択する主な理由としては、偏見を避けたい、求人の選択肢を広げたい、キャリアアップや高い給与を目指したいといった背景があります。実際に、障害を持ちながら就職した方の約18%が障害を隠して一般企業に就職しています。

一般枠での就労と障害者雇用との違い

クローズ就労(一般枠)と障害者雇用には明確な違いがあります。クローズ就労では求人数や給与水準が比較的高く、キャリアパスの可能性も広がりますが、障害への配慮は期待できません。一方、障害者雇用では適切な配慮を受けられますが、求人数や職種が限られる傾向があります。

クローズ就労を検討する際には、自分の障害特性や症状の程度を客観的に評価し、メリット・デメリットを理解した上で判断することが大切です。

長く働き続けるためには、自分にとって最適な選択をすることが鍵となります。

クローズ就労の5つのメリット

クローズ就労には障害者雇用と比較して、いくつかの明確なメリットがあります。障害を開示せずに働くことで得られる利点を見ていきましょう。

メリット①:給与水準が比較的高い

クローズ就労では一般枠で働くため、障害者雇用と比べて給与水準が高い傾向にあります。

厚生労働省の調査によると、精神障害者の月額平均給与は約14万9千円ですが、一般雇用の平均給与は約31万8千円と大きな差があります。

出典:

出典:

メリット②:求人数や職種の選択肢が豊富

一般求人の数は障害者枠に比べて圧倒的に多く、職種も多様です。これにより自分の希望や適性に合った仕事を見つけやすくなります。

メリット③:キャリアアップの機会が多い

一般枠では多様な業務経験や異動の機会が得られやすく、専門性の向上やスキルアップ、昇進の可能性が広がります。

メリット④:偏見を受けずに働ける

障害を開示しないことで、職場での偏見や特別扱いを避け、能力や実績で評価されやすくなります。

メリット⑤:能力で評価される可能性が高い

障害という属性ではなく、純粋な能力や実績、人間性で評価される可能性が高まり、自己実現や成長につながります。

クローズ就労で成功するための就職先選びのポイント

クローズ就労で長く働き続けるためには、就職先選びが重要です。障害に配慮してもらえないからこそ、自分に合った環境を見極める必要があります。

ポイント①:福利厚生や休職制度が充実している企業を選ぶ

有給休暇が取りやすく、休職制度の適用期間が長い企業を選びましょう。体調不良時に安心して休養できる環境は重要です。

企業の採用サイトで「休職制度」「ワークライフバランス」などのキーワードをチェックし、面接時に制度について質問することをお勧めします。

人事コンサルタント

ポイント②:メンタルヘルスに理解のある職場環境

ストレスチェック制度の活用や社員のメンタルヘルス研修を実施している企業は、体調変化に理解を得やすい環境である可能性が高いです。

ポイント③:自分の特性に合った業務内容と労働条件

自分の障害特性と相性の良い業務内容、無理なく続けられる通勤時間や勤務形態を選びましょう。

ポイント④:テレワークや時短勤務など柔軟な働き方ができるか

リモートワークやフレックスタイム制度があれば、体調管理がしやすく、自分のペースで働きやすくなります。

クローズ就労でも使える支援制度とサービス

クローズ就労を選択した場合でも、様々な支援制度やサービスを活用することができます。

職場には障害を開示せずとも、外部の支援を受けながら働き続けることが可能です。

就労移行支援でクローズ就労を目指す方法

就労移行支援事業所はクローズ就労を目指す方も利用可能です。障害者総合支援法では「通常の事業所に雇用されることが可能」な方が対象とされ、働き方についての制限はありません。

就労移行支援を利用してもクローズ就労を目指すことはできます。必ずしも障害を開示して働かないといけないわけではないのです。

就労移行支援事業所職員

外部の就労支援機関の利用方法

地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターでは、個人的な相談として支援を受けることができます。特にリワーク支援は休職からの復帰に役立ちます。

クローズでも活用できる公的支援

障害者手帳をお持ちの方は確定申告で障害者控除を受けられます。また、障害年金や自立支援医療も会社に知られることなく利用可能です。

プライベートでのサポート体制の構築

主治医や専門医との定期的な通院、カウンセリングの利用、当事者会への参加など、プライベートでのサポート体制を充実させることが重要です。

障害別・クローズ就労の実践ポイント

障害別・クローズ就労の実践ポイント

障害の種類や特性によって、クローズ就労での働き方や注意点は異なります。それぞれの障害特性に合わせた実践的なポイントを解説します。

発達障害でのクローズ就労:コミュニケーション戦略

発達障害の方は、業務指示を紙やメールで残してもらう、感覚過敏がある場合はイヤホンを活用するなどの工夫が効果的です。

私はASDですが、「メモや図で説明してもらえると理解しやすいタイプ」と伝えることで、障害を開示せずとも必要な配慮を得られています。

ASD当事者・IT企業勤務

うつ病でのクローズ就労:体調管理のコツ

小まめな休息を習慣化し、定期的に有給休暇を取得することで疲労の蓄積を防ぎましょう。ストレスサインを早期に発見し、対処することも重要です。

双極性障害でのクローズ就労:業務量の調整方法

躁状態では業務量に上限を設け、残業を避けるなど自己管理を徹底しましょう。うつ状態では優先順位を明確にし、無理をしないことが大切です。

統合失調症でのクローズ就労:服薬管理と体調維持

服薬管理アプリの活用や十分な睡眠時間の確保など、症状の安定に努めることが最優先です。

クローズ就労は違法なのか?法的な観点から解説

障害を隠して就職することは法的に違法ではありません。ここでは、クローズ就労の法的側面について解説します。

法的には問題がない理由

障害者雇用促進法では、企業に対して一定割合の障害者雇用を義務付けていますが、障害者個人に障害の開示を義務付ける規定はありません。

障害のある方が障害の有無を会社に申告することを義務づける法律はありません。クローズ就労自体は法的に問題ないと言えます。

労働問題専門弁護士

会社にバレた場合の対応と権利

障害をクローズにしていたことが発覚しても、それだけを理由に解雇することは「不当解雇」になる可能性が高いです。ただし、以下の場合は注意が必要です。

  • 採用時に障害について直接質問され、虚偽回答をした場合
  • 就業規則に「虚偽申告は解雇対象」と明記されている場合
  • 業務に著しい支障をきたしている場合

面接での質問と回答の法的考え方

面接で障害について聞かれた場合、可能な限り正直に答えることをお勧めします。虚偽の回答はトラブルの原因になる可能性があります。

クローズ就労の6つのデメリットと注意点

クローズ就労には考慮すべき重要なデメリットがあります。長く働くためには、これらのリスクを理解し対策を講じる必要があります。

デメリット①:障害への配慮が受けられない

障害を開示しないため、業務調整や環境整備などの合理的配慮を受けることができません。苦手な業務でも断りづらく、体調不良時の理解も得にくくなります。

合理的配慮とは、障害に由来する困りごとに対して周囲からサポートが受けられることです。クローズ就労ではこのような配慮を受けることができません。

就労支援専門家

デメリット②:通院や体調管理が難しくなる

定期的な通院や体調管理のための休暇取得が説明しづらく、有給休暇を多く使うことになります。

デメリット③:支援機関と連携したサポートが得られない

就労支援機関と職場が連携した三者面談や業務調整などのサポートを受けることができません。

デメリット④:障害をバレたときの信頼問題

障害が明らかになった場合、「嘘をついていた」と捉えられ、信頼関係が損なわれる可能性があります。

デメリット⑤:ストレスや精神的負担が大きい

障害を隠し続けること自体がストレスとなり、症状悪化のリスクがあります。

デメリット⑥:障害者控除などの税制優遇を受けにくい

年末調整で障害者控除を申告すると会社に知られるため、確定申告が必要になります。

オープン就労との比較:どちらが自分に合っているか

クローズ就労とオープン就労、どちらが適しているかは個人の状況や価値観によって異なります。両者を比較し、自分に合った選択をするための判断材料を提供します。

オープン就労のメリットとデメリット

オープン就労の主なメリットは、配慮を受けられる安心感と支援機関との連携です。一方、給与水準が低く、求人や職種の選択肢が限られるというデメリットがあります。

オープン就労の最大のメリットは「ありのままの自分」で働けることです。特に、調子の波がある方や定期的な通院が必要な方にとっては、体調に合わせた勤務調整ができる点が大きな利点です。

就労支援カウンセラー

自分の障害特性と相性を考える

障害の種類や程度、症状の安定性、通院頻度、配慮の必要性などを考慮し、自分に合った就労形態を判断しましょう。

収入やキャリアを重視するならクローズ就労、安定や安心を重視するならオープン就労が向いている傾向があります。

両方の働き方を経験した人の体験談

実際に両方の働き方を経験した方々の体験を参考にすることで、より具体的な判断材料が得られます。

クローズ就労で障害がバレるケースと対策

クローズ就労では「障害がバレるのではないか」という不安がつきまといます。バレやすいケースとその対策について解説します。

自己申告や健康診断でバレるリスク

職場での雑談や健康診断が障害露見の原因になることがあります。注意すべき場面と対策を見てみましょう。

上司はもちろん、仲の良い同僚から会社の人事部に情報が漏れることは多いです。雑談でも障がいのことを話すと、いつのまにか会社に知られていたということがよくあります。

就労支援アドバイザー

税金関係(障害者控除など)での注意点

年末調整で障害者控除を申告すると経理や人事に知られる可能性があります。対策としては自分で確定申告を行うことが挙げられます。

障害年金や障害者手帳でバレるリスク

障害年金は非課税所得のため会社に知られることはありませんが、手帳の携帯や使用には注意が必要です。

傷病手当金でバレるリスク

傷病手当金の申請には事業主証明が必要なため、障害が知られる可能性があります。

万が一バレた場合の対処法

隠していた理由を誠実に説明し、業務への影響がないことを強調することが大切です。

クローズ就労に関するよくある質問と回答

クローズ就労を検討する中で、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。よくある質問とその回答をQ&A形式でまとめました。

Q1. クローズとオープン、どちらが自分に合っているか迷っています

自分の「優先順位」で決めることをお勧めします。収入とキャリアを優先するならクローズ、安定と安心を優先するならオープンです。

30代・発達障害当事者

Q2. 履歴書や面接で障害のことを話さなくても問題ない?

自ら積極的に開示する義務はありませんが、直接質問された場合は可能な限り正直に答えることをお勧めします。

Q3. 入社後に障害を開示したくなった場合はどうすればいい?

信頼できる上司や人事担当者に個別に相談し、具体的な特性と必要な配慮を説明するとよいでしょう。

Q4. クローズで働きながら体調を維持するコツは?

規則正しい生活リズムの維持、定期的な通院と服薬管理、適切な休息の確保が重要です。

まとめ:あなたに合った働き方を選び、長く活躍するために

クローズ就労かオープン就労か、どちらが「正しい」というわけではありません。大切なのは、あなた自身の状況や特性、価値観に合った選択をすることです。

障害のある方の就労において最も重要なのは「続けられること」です。自分にとっての優先順位を明確にし、それに沿った選択をすることが大切です。

キャリアカウンセラー

変化を恐れず、柔軟に適応する

一度決めた働き方に固執せず、状況に応じて柔軟に見直す姿勢も大切です。クローズからオープンへ、あるいはその逆の移行も状況に応じた選択として考えられます。

最終的には「自分らしく働ける環境」が重要

障害の開示・非開示という視点だけでなく、自分の強みを活かせる業務内容や職場環境を総合的に判断し、長期的に満足できる働き方を見つけましょう。

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