公開日:2025.07.02 最終更新日:2025.07.02

就労支援における職員の役割と必要な資格について徹底解説

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就労支援における職員の役割と必要な資格について徹底解説
このコラムのまとめ
就労支援職員の役割と必要な資格について解説した記事です。就労支援事業所のスタッフ構成、具体的なサポート内容、資格の要否、キャリアパス、やりがいと課題を紹介。障害のある方の就労を支える専門職の重要性と将来性についても触れています。就労支援の仕事に興味がある方必見の内容です。

就労支援事業所のスタッフ構成と各職種の役割

就労支援事業所では、様々な専門スタッフが連携して障害のある方の就労をサポートしています。それぞれのスタッフが明確な役割を持ち、利用者一人ひとりに合わせた支援を提供することで、就労への道を開いています。

管理者の役割と必要な資格

管理者は就労移行支援事業所の全体管理を行う役割です。1施設に1人配置され、スタッフの管理や事業運営の管理が主な業務です。管理者になるためには、社会福祉主事任用資格を有する者、社会福祉事業に2年以上従事した者、企業を経営した経験を有する者のいずれかの要件を満たす必要があります。

サービス管理責任者の業務内容と求められる資格

サービス管理責任者は、利用者の個別支援計画の作成やサービス全体の管理を行い、1施設に1人は必ず常勤しています。サービス管理責任者になるためには、障害者支援の実務経験(5~10年)と専門研修の修了が必要です。

就労支援員の具体的な仕事内容

就労支援員は就労先の企業と利用者を繋ぐことが主な役割です。就職活動の支援や職場定着への支援など就労全般をサポートします。利用者15人に対して1名が配置され、資格要件はありません。

就労支援員は単なる就職斡旋ではなく、障害特性を理解した上で、一人ひとりに合った職場を見つけ、長く働き続けられるようサポートする重要な役割を担っています。

就労支援事業所 管理者

生活支援員が提供するサポート

生活支援員は安定した就労のために日常生活上の支援をする役割です。利用者の個別支援計画書に沿って健康管理の支援を行い、生活面での課題解決をサポートします。利用者6人に対して1名配置され、特に資格要件はありません。

職業指導員の専門性と支援内容

職業指導員は職務に必要な知識や技術を身に付けるための支援を行います。パソコン操作やビジネスマナーの指導などが主な業務です。利用者6人に対して1名が配置され、特に資格要件はありません。

職種 主な役割 配置基準
管理者 事業所全体の管理運営 1施設に1名
サービス管理責任者 個別支援計画作成・サービス管理 利用者60人に1名
就労支援員 就職活動・職場定着支援 利用者15人に1名
生活支援員 日常生活・健康管理支援 利用者6人に1名
職業指導員 職業技術・知識の指導 利用者6人に1名

これらの職種が連携して支援することで、障害のある方の就労を効果的にサポートしています。各職員がそれぞれの専門性を活かし、チームとして一体となって支援することが、利用者の就労成功への鍵となっています。

就労支援職員が利用者に提供する具体的なサポート

就労支援職員は、障害のある方が就労に向けて必要なスキルを身につけ、適切な就労先を見つけ、就職後も安定して働き続けられるよう様々なサポートを提供しています。

就労に向けたスキル訓練の内容

就労移行支援のスタッフは、一人ひとりの障害特性や適性に合わせた支援プログラムを提供します。ビジネスマナー講座、パソコンスキルの習得支援、コミュニケーション能力の向上訓練などが含まれます。

大切なのは一律の内容ではなく、一人ひとりの特性に合わせたカスタマイズです。発達障害の方には視覚的な情報を多用した指導が効果的ですし、精神障害の方には疲労度に配慮した段階的なプログラムを組むことが重要です。

職業指導員

職場開拓と企業とのマッチング支援

就労支援員は利用者に合った職場探しを行い、実際の就労へと結びつける支援を提供します。企業開拓、履歴書作成支援、模擬面接の実施、就職面接への同行などのサポートを行います。職場体験は仕事や職場が自分に合っているかを体感できる重要な機会となります。

就職後の定着支援の方法

就労支援は就職がゴールではなく、むしろスタートです。就労支援員が中心となって、就労後も企業訪問や定期面談を行い、職場定着を支援します。定期的な職場訪問、雇用主や同僚との関係調整、業務上の課題に対する対応策の提案などを行います。

支援段階 主なサポート内容 担当スタッフ
訓練段階 ビジネスマナー、技術指導 職業指導員、生活支援員
就職活動段階 求人開拓、履歴書作成支援 就労支援員
就職後 職場環境調整、定期訪問 就労支援員

生活面での自立サポート

就労を成功させるためには、安定した生活基盤も不可欠です。生活支援員は、規則正しい生活リズムの確立支援、健康管理、金銭管理のアドバイスなど、就労を支える生活面での自立をサポートします。障害特性によっては、日常生活のちょっとした変化がストレスとなり就労に影響を与えることがあるため、生活面のサポートは就労安定のために重要です。

これらの多角的な支援を通じて、就労支援職員は障害のある方の「働きたい」という願いを実現し、社会参加と自立を促進しています。

就労支援職員を目指す方へのアドバイス

就労支援職員は、障害のある方の就労と社会参加を支える重要な役割を担います。やりがいのある仕事ですが、同時に専門性や人間力も求められる職種です。

未経験からのキャリアパス

就労支援の世界では、利用者の支援に関わる職種は資格や経験がなくても働くことができます。未経験からスタートする場合、まずは生活支援員や職業指導員として基礎的な支援スキルを学び、徐々に専門性を高めていくことが一般的です。

私は一般企業から未経験で就労支援の世界に飛び込みました。最初は戸惑うことも多かったですが、利用者さんの「働きたい」という思いに応えたいという気持ちが原動力になりました。何より大切なのは、相手の立場に立って考えられる姿勢です。

就労支援員(転職3年目)

活かせる経験・スキル

就労支援の現場では、これまでのキャリアで培ったスキルが思わぬ形で役立つことがあります。接客業でのコミュニケーションスキル、事務職での文書作成能力、営業職での企業開拓のノウハウなど、様々な経験を活かせる点が魅力です。

受けられる研修制度

地域障害者職業センターでは、就業支援の担当者を対象とした「就業支援基礎研修」など、経験に応じたステップアップ研修が用意されています。これらの研修に積極的に参加することで、専門性を高めることができます。

求人の探し方と応募のポイント

就労支援の職場を探す際には、福祉専門の求人サイトや福祉人材センターを活用すると良いでしょう。応募する際は、単に「障害者支援に興味がある」というだけでなく、なぜ就労支援の仕事に携わりたいのか、自分のスキルをどう活かせるかを具体的に伝えることが大切です。

就労支援の現場では、利用者一人ひとりに寄り添い、その可能性を信じて支援できる人材が求められています。

資格や経験も大切ですが、何より「利用者と共に成長していく」という姿勢を持った方が、この仕事で長く活躍できるでしょう。

就労支援の現状と将来性

障害者の就労支援は、社会的ニーズの高まりとともに拡大を続けています。障害者雇用を取り巻く環境の変化や法整備の進展により、就労支援職の重要性はますます高まっています。

障害者雇用の動向と支援ニーズ

日本における障害者雇用は、法定雇用率の引き上げや企業の意識変化により着実に拡大しています。厚生労働省の調査によると、就労系障害福祉サービスからの一般就労移行者数は年々増加し、2024年には2万6千人を超えています。

年度 一般就労移行者数 2003年度との比較
2003年 1,288人 -
2012年 7,717人 6.0倍
2024年 26,586人 20.6倍

出典:

近年の障害者雇用を取り巻く環境変化としては、法定雇用率の段階的引き上げ、精神障害者の雇用義務化、多様な働き方の推進などが挙げられます。これらにより、より専門的な就労支援の需要が高まっています。

最近は企業側の姿勢にも変化が見られます。単に法定雇用率を満たすためではなく、障害者の特性を活かした戦力化を模索する企業が増えています。それに伴い、私たち支援者にも高い専門性が求められるようになっています。

就労移行支援事業所 管理者

就労支援職のキャリア展望

就労支援のニーズ拡大に伴い、この分野でのキャリアパスも広がりを見せています。サービス管理責任者や管理者へのステップアップ、専門分野のスペシャリスト化、企業の障害者雇用コンサルタントとしての活動など、様々な可能性があります。

就労支援は社会的ニーズと政策的後押しを受けて、今後も発展が期待される分野です。多様化する障害特性への理解を深め、専門性を高めることで、就労支援職としての将来性はさらに広がっていくでしょう。

就労支援職員に必要な資格の有無

就労支援職員に必要な資格の有無

就労支援の現場で働くにあたって、「どのような資格が必要なのか」「未経験でも働けるのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。ここでは就労支援職員に必要な資格について解説します。

資格が必須の職種と要件

就労支援事業所のうち、資格や実務経験が必要な役職があります。

サービス管理責任者

サービス管理責任者は、個別支援計画の作成や見直し、関係機関との連携などを担います。この職に就くには、5~10年の実務経験と専門研修の修了が必要です。

管理者

管理者はスタッフの指導や事業内容の管理を行う役職で、社会福祉主事任用資格を持つか、社会福祉事業に2年以上従事した経験などが求められます。

資格がなくても就ける職種

直接支援に関わる職種の多くは、資格がなくても働くことができます。

  • 生活支援員:日常生活のサポートや健康管理指導を担当
  • 職業指導員:職業訓練や技術指導を担当
  • 就労支援員:職場探しや就職後の定着サポートを担当

資格は「あれば良い」程度に考えておくとよいでしょう。資格より大切なのは、障害のある方と向き合う姿勢や、一人ひとりの可能性を信じる力です。私自身、未経験から就労支援の世界に入りましたが、現場で学びながら専門性を高めていくことができました。

就労支援員(5年目)

就労支援の仕事に役立つ資格

資格は必須ではありませんが、持っていると役立つ資格としては、社会福祉士・精神保健福祉士(国家資格)、社会福祉主事任用資格、キャリアコンサルタント資格などがあります。また、普通自動車運転免許や手話・点字の知識も現場では重宝されます。

利用者の声を聞いて適切な支援をしたいという気持ちが何よりも大切です。資格はあくまでもツールの一つであり、それを活かして利用者に寄り添った支援ができるかどうかが重要です。

就労支援職員として働くメリットと課題

就労支援の仕事は、障害のある方の就労と社会参加を支える重要な役割を担っています。この仕事には固有のやりがいと魅力がある一方で、様々な課題も存在します。

やりがいと魅力

厚生労働省の調査によると、就労支援員の約7割が仕事に満足していると回答しています。主なやりがいには、利用者の就職成功や成長を間近で見られる喜び、社会的に意義のある仕事に携わっている実感などがあります。

利用者が無事に職場に定着したとき、「今日も楽しく働けました」と報告を受けたときが一番うれしいです。障害があるからあきらめていた方が、自分の強みを活かして「やりたい」ことができるようになる姿を見るのは何にも代えがたい喜びです。

就労支援員(30代女性)

直面する課題と対処法

一方で、就労支援にはいくつかの課題もあります。利用者の障害特性の理解と対応の難しさ、体調や気分の波への対応、限られた期間内での就労実現へのプレッシャーなどが挙げられます。

これらの課題に対処するためには、チーム内での情報共有と連携強化、定期的な研修参加、自己のメンタルヘルスケアが重要です。

給与・待遇の実態

厚生労働省によると、令和3年9月時点の就労支援員の平均給与額(月額)は、常勤で約29.6万円、非常勤で約12万円です。福祉業界特有の安定性や研修機会の充実など、給与以外の面でもメリットがあります。

就労支援員は利用者と接する時間以外にも、企業開拓や関係機関との連携など多忙な日々を送りますが、人の可能性を信じ、寄り添って支援することの価値は計り知れません。やりがいを重視する方に適した職種といえるでしょう。

出典:

まとめ:就労支援職員の重要性と活躍の場

就労支援職員は、障害のある方の就労と社会参加を支える重要な役割を担っています。単に就職を実現するだけでなく、一人ひとりの特性や強みを活かした就労機会の創出、企業と障害者をつなぐ架け橋としての機能を果たしています。

就労支援の仕事の最大の意義は、「働きたい」という障害のある方の夢を実現し、社会とのつながりを作ることです。私たちの支援が一人の人生を大きく変えるというのは、この仕事の醍醐味です。

就労移行支援事業所 管理者

就労支援職員の活躍の場は多岐にわたり、就労移行支援事業所、就労定着支援事業所、障害者就業・生活支援センターなど様々です。障害者雇用の拡大とともに、今後もさらにその重要性は高まっていくでしょう。

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