公開日:2025.08.25

就労継続支援A型事業所の仕事内容とリアルな体験談集

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就労継続支援A型事業所の仕事内容とリアルな体験談集
このコラムのまとめ
就労継続支援A型事業所の仕事内容や実際の体験談を詳しく紹介。事務作業からIT関連まで多様な業種、勤務時間や給与体系、見学・体験の方法など実用的な情報を解説。障害のある方が自分に合った事業所で安心して働くためのポイントがわかる記事です。

もくじ

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A型事業所の仕事内容・業種別に解説

就労継続支援A型事業所では、障害のある方が適切な支援を受けながら働くことができます。事業所によって様々な仕事内容が用意されており、自分の興味や能力に合った業務を選ぶことが可能です。ここでは代表的な業種別に仕事内容を解説します。

事務作業系の仕事

事務作業系の仕事は、デスクワークが中心となるため、身体的負担が比較的少なく、集中力を活かせる方に向いています。

  • データ入力:エクセルやスプレッドシートへの情報入力
  • 封入発送:企業のダイレクトメールや資料の封入・発送作業
  • 書類整理:書類のファイリングや整理業務

製造・軽作業系の仕事

製造・軽作業系の仕事は、手先の器用さや細かい作業が得意な方に向いています。

  • 部品・機械組立:小型電子機器や製品の部品組立
  • 検査・検品:製品の品質チェックや数量確認
  • 袋詰め・箱詰め:商品の梱包作業

清掃業務は複数の提携先があり、場所によって求められる内容も違います。ホテルや銭湯、店舗の清掃など、初めての方でも、一緒に働く利用者さんや支援スタッフが丁寧に教えてくれるので安心です。

利用体験者

Web関連・IT系の仕事

Web関連の仕事は、パソコンスキルを活かしたい方や、デジタル分野に興味がある方に向いています。

  • データ入力:指定された情報をエクセルに入力する作業
  • Webサイト制作:ホームページの作成や更新作業
  • ライティング:ブログ記事やWeb記事などの文章作成

接客・サービス系の仕事

人と接することが好きな方や、コミュニケーション能力を活かしたい方には向いています。

  • カフェ・レストランの接客:注文受付、配膳、レジ業務
  • 販売業務:商品陳列、在庫管理、接客

私は以前は人と関わることが苦手でしたが、A型事業所のカフェで働き始めてから少しずつ自信がつきました。お客様から「ありがとう」と言われると、とても嬉しく感じます。

A型事業所利用者

就労継続支援A型事業所では、これらの業種以外にも、農作業や食品製造(弁当・パン・お菓子作りなど)、アクセサリー制作といった特色ある業務を提供している事業所もあります。

自分の興味や適性に合った仕事を見つけることで、やりがいを持って働くことができるでしょう。

A型事業所で働く人のリアルな体験談

就労継続支援A型事業所で実際に働く方々は、どのような経験をしているのでしょうか。ここでは様々な障害を持つ方々の体験談を紹介し、A型事業所での就労の実態に迫ります。

精神障害を持つ方の体験談

私は統合失調症という病気による障がいがあります。細かい物を見たり他人が見落とす物にでも気付くことが得意なので、ホームページのミス確認や文章校正、データ入力などの仕事に取り組んでいます。A型事業所は通院や障害への配慮があって、職員の方々が相談に乗ってくれるので安心して働けています。

統合失調症の方(40代・男性)

発達障害の方の体験談

A型事業所に入った当初、私は何もできなくてそんな自分が大嫌いでした。そんな中、技術を教えてもらううちに「こんなこともできた!」「あんなこともできた!」とどんどん自分を好きになっていくのを実感しました。集団が苦手な私でしたが、事業所の忘年会では心から楽しめて、「この会社に入ってよかったなあ」と思いました。

発達障害の方(20代・女性)

難病の方の体験談

もともと介護職をしていたのですが、病気で入院し退職。それからは体調や体力を考えて、一般企業への就職は難しいと思っていました。ハローワークで「就労継続支援A型」を紹介してもらい、見学したのがきっかけです。軽作業はこれまでやったことがなかったので不安でしたが、周りの人がとても親切で積極的に話しかけてくれたのがうれしかったです。

難病の方(50代・女性)

このように、A型事業所で働く方々の体験談からは、障害の種類や程度によって感じ方や経験は様々であることがわかります。

自分に合った事業所を選ぶことで、より充実した就労生活を送ることができるでしょう。

就労継続支援A型事業所とは?基本情報

就労継続支援A型事業所は、障害のある方が安心して働ける場として重要な役割を担っています。ここでは、A型事業所の基本的な情報について解説します。

A型事業所と他の就労支援サービスの違い

障害者の就労支援サービスには、「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」など複数の種類があります。A型事業所の最大の特徴は、利用者と事業所の間で雇用契約を結ぶ点です。

就労継続支援A型 就労継続支援B型
雇用契約 あり なし
賃金 最低賃金以上の給与 工賃(平均月額23,053円)
利用期間 制限なし 制限なし

出典:

A型事業所の利用条件と対象者

就労継続支援A型事業所の主な対象者は以下の通りです。

  • 一般企業での就労が困難な障害のある方
  • 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病等の障害がある方
  • 年齢は基本的に65歳未満(65歳以上でも要件を満たせば利用可能)

A型事業所の利用料金と負担の仕組み

A型事業所は障害福祉サービスのひとつとして位置づけられており、サービスにかかる費用のうち1割を利用者が、残りの9割を市区町村が負担します。ただし、世帯の収入状況により月ごとの負担上限額が設定されており、生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯は利用料が0円となります。

A型事業所の4時間半という勤務時間は、精神障がいをお持ちの方にとって無理なく働きやすいひとつの目安です。業務に慣れてきた頃に、徐々に勤務時間の延長を申し出ることも可能な事業所も多いです。

A型事業所職員

就労継続支援A型事業所は、障害者の社会参加と自立を支援する重要な社会資源として、今後もその役割はさらに大きくなっていくでしょう。

A型事業所の一日の流れ・勤務時間

就労継続支援A型事業所での一日はどのように過ごすのでしょうか。ここでは、A型事業所における標準的な一日の流れや勤務時間、休憩時間の取り方などについて解説します。

標準的な一日のスケジュール例

A型事業所によって業務内容や勤務体制は異なりますが、ここでは実労働時間が4時間30分の標準的な一日のスケジュールを紹介します。

時間 活動内容
9:30 朝礼・作業開始
10:45〜11:00 午前の休憩
11:00〜12:00 作業継続
12:00〜13:00 昼食休憩
13:00〜14:00 午後の作業
14:00〜14:15 午後の休憩
14:15〜15:15 作業継続・終礼

勤務時間と休憩時間について

厚生労働省の調査によると、A型事業所の実労働時間は以下のような分布となっています。

  • 4時間以上4時間30分未満:約49.6%(最も多い)
  • 3時間以上4時間未満:約17.9%
  • 6時間以上:約18.3%

当事業所では基本的に土日祝日がお休みですが、作業の繁忙期には土曜出勤をお願いすることもあります。その場合は平日に振替休日を設けるなど、無理なく働ける体制を整えています。また、体調不良の際は気軽に休めるよう、電話一本で休暇申請ができる仕組みを導入しています。

A型事業所管理者

このように、就労継続支援A型事業所では、一般企業とは異なり、障害のある方が無理なく働き続けられるよう、勤務時間や休憩、支援体制などが細かく配慮されています。

自分の体調や障害特性に合った働き方ができるため、長期間安定して就労を続けることが可能となっています。

A型事業所の見学・体験利用の流れ

就労継続支援A型事業所の利用を検討する際、まずは見学や体験利用を通して事業所の雰囲気や業務内容を確認することが大切です。ここでは、見学から体験利用までの流れや準備すべきことについて解説します。

見学・体験の申し込み方

A型事業所の見学や体験利用を希望する場合、まずは事業所への申し込みが必要です。申し込み方法は以下の通りです。

  • 電話での直接申し込み
  • 事業所のWebサイトからの予約フォーム
  • 相談支援専門員を通しての申し込み
  • ハローワークの紹介

見学当日の流れ

一般的な見学の流れは以下のようになります。

  1. 受付・挨拶:事業所に到着したら、スタッフに予約した旨を伝えます
  2. 事業所の概要説明:就労継続支援A型事業所の制度説明や事業所の特徴について説明を受けます
  3. 施設内見学:実際の作業場や休憩スペースなどを見学します
  4. 質疑応答・面談:疑問点や不明点について質問する時間があります

体験利用でチェックすべきポイント

私は3つのA型事業所で体験利用をしました。同じA型でも事業所によって作業内容や雰囲気が全く違うことに驚きました。一つ目は単調な作業で集中力が続かず、二つ目は通勤時間が長すぎて体力的にきつかった。三つ目は作業内容が自分の得意なパソコン業務で、スタッフの方の説明も丁寧で質問しやすい雰囲気だったので、ここに決めました。

A型事業所利用者(20代・女性)

体験利用では、作業内容の適性、職場の雰囲気、支援体制、通勤のしやすさなどをチェックすることが大切です。複数の事業所を体験することで、自分に最も合った環境を見つけることができるでしょう。

A型事業所の選び方・自分に合った事業所を見つけるコツ

就労継続支援A型事業所は全国に数多く存在し、それぞれ特色が異なります。自分に合った事業所を選ぶことで、長く安定して働き続けることができます。ここでは、A型事業所を選ぶ際のポイントを紹介します。

立地・通いやすさをチェック

毎日通う場所なので、通いやすさは長く続けるための重要な要素となります。

  • 自宅からの距離と通勤時間
  • 公共交通機関のアクセスの良さ
  • 送迎サービスの有無

仕事内容と自分のスキル・志向のマッチング

A型事業所で提供される仕事内容は事業所によって大きく異なります。自分の興味や得意分野、将来身につけたいスキルなどを考慮して選ぶことが大切です。

私は発達障害があり、同じ作業を繰り返すことが得意です。A型事業所では、データ入力の仕事を担当していますが、同じ手順で黙々と作業できるので、むしろ集中できて楽しいと感じています。自分の特性に合った仕事を見つけることで、「障害」ではなく「個性」として活かせるようになりました。

A型事業所利用者(30代・女性)

支援体制や職場の雰囲気を確認する

A型事業所を選ぶ際には、提供される支援の内容や職場の雰囲気も重要な判断材料となります。見学や体験利用の際に、スタッフとの会話や他の利用者への対応を観察することで、支援の質を判断する材料になります。

複数の事業所を見学・体験することで、これらのポイントを比較検討し、最も自分に合った環境を見つけることができます。

A型事業所の給与・収入について

就労継続支援A型事業所で働く際の給与や収入に関する情報は、利用を検討する上で重要な判断材料となります。ここでは、A型事業所の給与体系や平均的な収入額などについて解説します。

平均的な給与水準

就労継続支援A型事業所は、利用者と雇用契約を結ぶため、法律で定められた最低賃金以上の給与が支払われます。厚生労働省の統計によると、A型事業所の平均工賃(賃金)は2022年時点で月額83,551円となっています。

項目 計算例(東京都の場合)
時給 1,113円(2023年10月時点の東京都最低賃金)
1日の労働時間 4時間30分(4.5時間)
月の勤務日数 20日
月給(総支給額) 約100,170円

障害年金との併用について

私は精神障害の2級で障害基礎年金を受給しながらA型事業所で働いています。月の給与が約7万円、年金が約6.5万円で、合計すると月13.5万円ほどの収入があります。一般就労は難しい状況ですが、この収入でなんとか生活できています。

A型事業所利用者(30代・女性)

A型事業所で働きながら障害年金を受給することは可能です。障害年金は障害によって生じる生活上の困難を補うためのものであり、就労による収入があっても原則として減額されません。

就労継続支援A型事業所での給与は、最低賃金が保証されているものの、短時間勤務が多いため、月収は一般就労に比べて低めとなります。しかし、障害年金や各種支援制度を組み合わせることで、安定した生活基盤を築くことが可能です。

A型事業所で働くメリット・デメリット

就労継続支援A型事業所での就労を検討する際は、そのメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。ここでは、A型事業所で働くことのプラス面とマイナス面を解説します。

メリット:支援を受けながら働ける安心感

A型事業所の最大のメリットは、障害特性に配慮した環境で、専門スタッフの支援を受けながら働ける点です。

  • 障害特性への理解と配慮
  • 体調管理への配慮
  • 人間関係の負担軽減

統合失調症で対人関係に不安がありましたが、A型事業所では職員さんが間に入ってくれるので安心です。休憩時間も一人で過ごしたい時は静かな部屋を使えるなど、自分のペースで過ごせる環境が整っています。

A型事業所利用者(20代・男性)

メリット:最低賃金が保証される

A型事業所では雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与が保証されます。同じ障害福祉サービスのB型事業所(平均工賃月額約23,000円)と比較すると大きな違いです。

デメリット:一般就労より給与水準が低い場合も

A型事業所のデメリットとして、一般就労と比較して給与水準が低い点が挙げられます。

デメリット:事業所によって環境や仕事内容に差がある

A型事業所は運営主体や方針によって、提供される環境や仕事内容、支援の質に大きな差があることがデメリットとして挙げられます。

自分の障害特性、体調、希望、生活状況などを総合的に考慮して判断することが大切です。

まとめ:A型事業所の活用で自分らしい働き方を見つける

就労継続支援A型事業所は、障害のある方が支援を受けながら働ける貴重な場です。最低賃金が保証され、障害特性に配慮された環境で、自分のペースで働くことができます。

A型事業所で働き始めて3年になります。最初は「障害者だから」と自分を制限していましたが、今は「自分にはできることがある」と自信を持てるようになりました。どんな働き方であっても、そこに「自分らしさ」を見つけることが大切だと思います。

A型事業所利用者(30代・男性)

自分に合った事業所を選び、自分らしい働き方を模索していくことが大切です。障害があっても、社会とつながり、充実した毎日を送ることは十分に可能です。

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